2003年1月11日(土)「しんぶん赤旗」
〔問い〕 献金あっせんを自粛していた日本経団連が、また再開するって本当ですか。(東京・一読者)
〔答え〕 日本経団連(奥田碩会長)は、一月一日に発表した新ビジョン「活力と魅力溢れる日本をめざして」の中で「政治との新たな協力関係」をうちだし、企業・団体が資金協力する際の参考となる「指針」を作成する方針を示しました。指針の作成にあたっては、与野党の政策・実績の「評価」を行うとも述べています。日本経団連の要求に忠実な政治家を選別し、企業献金を集中させるという、あからさまな買収です。
日本経団連の前身、経団連は一九九三年九月、自民党などへの献金額を業界ごとに割り振っていた「献金あっせん」を自粛することを決定しています。以後、献金は個々の企業の判断に委ねられる建前でした。新ビジョンの「指針」は「献金あっせん」と同様の献金仲介の役割を果たすことになります。
「献金あっせん」自粛を決定したとき、経団連は「企業献金に依存しない仕組み作りに積極的に協力していく」とものべ、企業献金も「廃止を含めて見直すべき」だとしました。リクルートや佐川急便などの資金・利益供与事件が相次いで発覚し、日本共産党を除く与野党が丸ごと汚染の様相を呈するなか、国民の怒りは企業・団体献金にも向けられ、財界も「改革」を約束するにいたったものです。
自民党などが九六年に政党助成金を導入する口実にした、企業・団体献金「見直し」の約束はすでに破られていますが、献金仲介を再開する日本経団連の新ビジョンによって、十年前の疑惑の当事者らの約束はすべてほごにされたことになります。
新ビジョンには、二〇〇四年から消費税を毎年1%ずつ引き上げ、一四年までに16%にするなど、国民に甚大な痛みを押しつける構想があります。これらの政策に「賛同」する政治家に献金し、国民の反対を押し切って財界いいなりの政治を進めさせるねらいです。
(博)
〔2003・1・11(土)〕