日本共産党

2003年1月15日(水)「しんぶん赤旗」

日本の公務員制度へのILO理事会勧告とは?


 〈問い〉 ILOは昨年、日本の公務員制度に対する勧告を出したそうですが、何を批判したのですか。(千葉・一読者)

 〈答え〉 国際労働機関(ILO)理事会は昨年十一月二十一日、公務員からストライキなどの労働基本権を奪う日本の公務員制度を批判し、是正を求める勧告を採択しました。

 日本国憲法の第二八条はストライキ権などの労働基本権を保障していますが、一九四八年に占領米軍の指示で公務員のスト権がはく奪されていらい、公務員は一律にストライキを禁止され、団結権や団体交渉権も厳しく制限されてきました。小泉内閣は二〇〇一年十二月に「公務員制度改革大綱」を閣議決定し、〇三年中の関連法案提出をめざしていますが、「大綱」は公務員の労働基本権はく奪の継続を明記し、スト禁止の代償措置として設けられた人事院制度も後退させようとしています。

 そのため全労連と連合は、昨年、それぞれ政府の「公務員制度改革」がILO条約などに違反すると提訴しました。訴えを審議したILO「結社の自由委員会」の報告と勧告が、理事会で採択されました。

 報告と勧告は、日本の法令・慣行がILOの八七号条約(結社の自由及び団結権保護条約)や九八号条約(団結権及び団体交渉権条約)に違反するとし、法改正などのため全関係者の協議を促しています。「公務員制度改革」に関連し、公務員の労働基本権の制限を続ける政府方針の「再考」を求めています。

 スト権や団体交渉権の制限は軍隊、警察、「国家の名において権限を行使する」公務員に限られると指摘し、他の公務員にこれらの権利を付与し、消防・監獄職員の団結権を認めるよう求めています。

 日本政府が「国内事情」などを理由に改善を拒否してきたことについても、「結社の自由原則は各国に一律かつ一貫して適用される」、すべての政府は条約批准の「誓約を完全に尊重する義務を負う」と厳しく批判しています。
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 〔2003・1・15(水)〕


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