2007年1月18日(木)「しんぶん赤旗」

平和の共同体と九条の意義

CS放送 志位委員長が語る


 日本共産党の志位和夫委員長は十六日のCS放送・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し日本外交や憲法の問題について語りました。聞き手は朝日新聞の本田優編集委員。発言要旨は次のとおりです。


「NATOとの協力強化」の危険と逆行

写真

(写真)質問に答える志位和夫委員長=16日、党本部

 ――安倍首相が欧州を訪問し、NATO(北大西洋条約機構)との協力強化を打ち出しました。どう見ていますか。

 志位  NATOとの協力強化ということでは、例えばアフガニスタンでの協力強化がいわれています。これはいまNATO軍が展開している地域に自衛隊を出していこうという動きです。海外派兵を軍事同盟間で協力してやろうというものであり、非常に危険な方向です。

 同時に、いまの状況に合っていないと思います。いま「NATOの漂流」ということがいわれています。つまり、NATO自身が目的を失って、何をやるべきか、加盟国の間でも意見がまとまらない。とくに二〇〇三年のイラク戦争のときには、ドイツ、フランスなどの主要国が反対にまわって、NATO自身が機能しないという状況になりました。その後も、アフガニスタンなど域外への派兵についてはずいぶん議論が分かれています。

 大きく見れば、世界の軍事同盟全体が解体の方向に向かっています。

 ヨーロッパ諸国はEU(欧州連合)という地域の平和的な共同体をつくって、域内で戦争をしないという方向を目指しているわけです。そのときに日米軍事同盟とNATOとが協力して世界中に軍事で出ていこうというのは、おそらくヨーロッパ諸国の向かおうとしている方向とも合わないと思います。

軍事同盟から平和の共同体へ

 ――安倍首相がヨーロッパや東アジアサミットに行っているころ、志位さんはベトナムに行きました。ベトナムから見ると東アジアサミットはどう見えますか。

 志位  まず、ベトナムがASEAN(東南アジア諸国連合)の中の有力な国になったのが大事なことですね。かつてベトナムはいまのASEANの一部の国々と戦火を交えたことがあるんです。ベトナム戦争のときにはSEATO(東南アジア条約機構)という軍事同盟もあり、フィリピンとかタイ、韓国もベトナムへの派兵をしました。ところがそういう緊張関係が前向きに解決され、ASEANという平和の共同体がつくられた。いまASEANは東南アジア友好協力条約(TAC)を結ぼうと各国に呼びかけていて、これに中国もロシアもインドもパキスタンも入り、日本も入った。たいへん発展性のある平和の流れの源泉となってきているのがこの地域の特徴です。

 東南アジアが平和の地域となり、ベトナム戦争で敵・味方だった国々が平和の共同体をつくっている。ベトナムではそのことを実感しました。

 先ほど世界中の軍事同盟が解体に向かっているといいましたが、軍事同盟がなくなったあとに作られているのは地域の平和共同体なんです。

 “同盟から共同体へ”というのが世界の流れになっている。東南アジアでは、小さな紛争はあっても、戦争は考えられない時代になっています。ですからいま北東アジアで平和の枠ぐみをつくることが大事です。

憲法―戦後日本を支えた九条

 ――今年は憲法施行六十年です。戦後日本の歩みと憲法をどう見ますか。安倍首相は憲法改正を掲げていますが。

 志位  憲法に反して自衛隊という軍隊が作られたけれど、日本の軍隊が戦後一人も外国人を殺していない、一人の戦死者も出していない。こういう国はサミット諸国でも日本だけです。これは自民党が立派だったからではなく、憲法九条が、そういう生きた力を発揮してきたからです。

 日本の軍事費は絶対額では小さいとはいえませんが、九条があって、GDP(国内総生産)比では比較的低く抑えられてきた。経済発展にいろんな資源を使う上でもプラスに働いたと思います。

 このように九条は日本の戦後を支えてきました。これを壊すことは絶対に許さないという立場で力を尽くしたいと思います。


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