2007年1月18日(木)「しんぶん赤旗」
マグロが食べられなくなる?
〈問い〉 テレビで「マグロがこれまでのように食べられなくなる」といっていました。どうなっていくのでしょうか。マグロだけでなく、輸入に頼る日本の漁業が問われている気がします。貴党の考えをお聞かせください。(宮城・一読者)
〈答え〉 四方を海に囲まれたわが国では、魚介類は食生活に欠かせません。なかでもマグロは、すしや日本料理とともに家庭でも親しまれています。
日本の漁業は、沿岸における環境の悪化や資源の減少、200カイリ時代に移行したことによる遠洋漁業の衰退などのため、1000万トンあった漁獲高は500万トン台に減り、食用魚介類の自給率も55%です。
魚は、再生産が可能な資源ですが、再生力をこえた漁獲は、資源を枯渇させます。近年、クロマグロをはじめ、高級食材といわれる魚種の資源減少が目立っています。
世界のマグロ消費量は、1975年当時の90万トンから2002年には225万トンと2・5倍に増えました。日本は65万トンを消費しており、90%近くが刺し身用で、世界中からマグロが日本に集まってきます。
マグロ類全体で見た日本の漁獲量は60万トン、輸入量は40万トンで、漁獲量、消費量とも世界一です。これらが資源の減少の責任が日本にあるといわれる根拠になっています。
マグロの漁獲量を決める国際会議では、一部の削減はありましたが、量の多いビンナガ、メバチなどは現状維持になりました。当面は、大きな変動はありませんが、世界的に消費が増え、資源の減少も明らかですから、生産でも消費でも、無駄を無くし、資源の維持に配慮する必要があります。
しかし、日本政府は、輸入も消費も市場が求めるものという態度であり、日本の責任を回避する一方で、資源の維持や国内漁業の振興などにはきわめて消極的です。
日本共産党は、沿岸・沖合漁業を振興、発展させ、国内消費の多くを、広大な面積を持つ日本の経済水域内でまかなう努力が不可欠であり、消費面でも、マグロなどいわゆる高級食材だけでなく、多様な水産物を生かすべきだと考えています。
そのためには、海岸の開発・汚染による漁場の破壊を防ぎ、漁業環境を改善する、漁民・漁業者、水産業者の経営が成り立つように魚価を安定させる、輸入の場合も資源や環境保全への配慮、原産国表示の徹底などルールを明確化するなどの方向で、漁業・水産政策を転換する必要があります。(坂)
〔2007・1・18(木)〕