2007年1月19日(金)「しんぶん赤旗」
沖縄新基地で政府
環境影響評価容認迫る
きょう 県などと第3回協議
米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる同キャンプ・シュワブ(同県名護市)へのV字形滑走路の新基地建設に関し、政府と関係自治体の第三回協議会が十九日、首相官邸で開かれます。政府は「二〇一四年前の完成」(久間章生防衛相)を目標に、「修正」案もちらつかせながら、建設開始の前提条件となる環境影響評価(アセスメント)の容認を沖縄県に迫っています。
■5月開始狙う
環境影響評価法に基づく環境アセスには約三年が必要となります。実際に海に潜って調査するなどの「環境現況評価」に入る前に、(1)政府が調査方法を明記した「方法書」を沖縄県知事に提出する(2)政府が方法書の公告・縦覧を行う(3)市町村や住民などから意見を募る―といった手続きがあり、これらには三カ月程度かかる見通しです。
政府は「(シュワブ沖に生息する)サンゴの産卵が五月から始まり、秋に着床する。サンゴの生態系を把握するためには、五月に(調査を)しないといけない。今を逃せば、環境アセスの開始は来年になってしまう」(守屋武昌防衛事務次官)などと強調。五月に現況調査を開始するため、一月中にも方法書を提出し、一連の手続きを進めたい考えです。
しかし、環境影響評価の方法書は、日米が合意した建設計画(V字形案)が前提になります。沖縄県の仲井真弘多知事がアセスを容認すれば、「現行のV字形案には反対」とする同知事の立場と根本的に矛盾し、「公約破り」との批判は免れません。
■「修正」も提案
また、仲井真知事は昨年十一月の県知事選で「普天間基地の三年以内の閉鎖の実現」を公約しました。その後、この公約は「閉鎖状態」に後退しましたが、それすら実現の見通しは立っていません。
このため、新基地を現行の案から数十メートル海側に移動するなどの“修正”案が政府と県の間で非公式に協議されてきました。「環境アセスをしながら(修正協議を)並行的にやってもいい」(十六日、久間防衛相)との案も示されています。
これに対して仲井真知事は「いろいろ考えてみないといけない」と、あいまいな立場です。
同知事は、新基地反対が多数を占める県民世論を受け、現行のV字形案反対を表明する一方、その具体的な理由については今なお明確に示していません。久間防衛相は「(知事が現行案を)駄目だと言うなら、理由を言わないといけない」(十四日)などとして、環境アセスを合理化しようとしています。
政府のシナリオ
07年1月〜 環境影響評価
(約3年)【方法書→現況調 査→準備書→評価書】
↓
10年〜 新基地建設開始
↓
〜14年 新基地完成