2007年1月19日(金)「しんぶん赤旗」
東京大気汚染訴訟・メーカー和解案
“謝罪不明確”と原告
東京都内の慢性呼吸器疾患患者が国や都、ディーゼル自動車メーカー七社などを相手取った東京大気汚染公害訴訟で、メーカー側が都の医療費助成案を基にした和解協議に応じる意向を示したことについて、原告側は十七日、「大気汚染と健康破壊に対する行政とメーカーの責任と謝罪が明確でなく、納得できない」との見解を明らかにしました。
同訴訟は、都内のぜんそく、慢性気管支炎、肺気腫の患者六百三十三人が国と都、首都高速道路公団(現・首都高速道路会社)、メーカー七社に対し、汚染物質の排出差し止めと損害賠償を求めました。一九九六年の提訴から十一年をへて、原告百八人が亡くなるなか、東京高裁が昨年九月に和解を勧告。原告と被告双方から意見を聞いています。
都の医療費助成案は、都内全域を範囲として、公害健康被害補償法の未認定患者や、都条例の対象外となる十八歳以上の患者も救済するもの。都と国が三分の一ずつ、首都高とメーカーが六分の一ずつ負担する方針です。一方、対象疾病をぜんそくに限り、慢性気管支炎や肺気腫を除外しています。
原告団によると、メーカー側は大気汚染と健康破壊をもたらしたことについての謝罪と、解決金の支払いには消極的で、都の医療費助成案について協議に応じるのは「社会貢献」の立場からだとしています。
また、国側は謝罪と解決金支払いについても都の案についても、協議に応じていません。
原告団の石川牧子事務局長は「メーカーが協議に応じる姿勢を示したのは一歩前進だが、私たち被害者を苦しめている排ガス汚染をつくったことに対する謝罪も、賠償もないのは、とても納得できない。一歩も引かずにたたかいたい」と話しています。