2007年1月19日(金)「しんぶん赤旗」

核戦争の危機を警告

終末時計「5分前」に

地球温暖化の危険も指摘


 【ワシントン=山崎伸治】米科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』の理事会は十七日、核戦争の危機を警告するため地球滅亡までの残り時間を示す「終末時計」の針を二分進め、滅亡「五分前」としました。針が動かされたのは二〇〇二年二月以来で初めてです。

 同理事会は声明で「われわれは第二の核時代の瀬戸際に立っている。広島と長崎への最初の原爆投下以来、世界がこれほど危険な選択に直面したことはない」と表明。北朝鮮の核実験とイランの核開発に加え、「米国が改めて核兵器の軍事的有用性を強調していること」を挙げました。

 米国の核政策については、〇二年の「核態勢見直し」が核兵器の有用性を表明したこととともに、〇四年には「『時間が切迫した標的』を破壊するために核兵器さえも速やかに使用することを信奉するこの新概念が実施に移された」ことを指摘。「米国が改めて核兵器の必要性を強調したことで、他の諸国も核兵器は自分たちの安全に必要だと考えるようになった」と批判しています。

 さらに針を進めた理由の一つとして地球温暖化問題を初めて挙げ、「気候変動がもたらす危険は、核兵器がもたらす危険と等しく差し迫っている」と指摘。「核爆発が生み出す破壊に比べれば短期間の影響はそれほど劇的ではないかもしれないが、今後三十年から四十年にわたって、気候変動は人類社会が生存に必要とする生活場所に大規模な被害をもたらしかねない」と警告しました。

 同誌は、第二次大戦中に米国の原爆開発に協力した科学者が、その反省から戦後創刊。一九四七年に「零時七分前」で終末時計を始めました。針が最も進んだのは、五三年に米国とソ連がともに水爆実験を計画した時の「二分前」です。


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