2007年1月20日(土)「しんぶん赤旗」
主張
原子力空母の配備
住民投票求める声に応えよ
神奈川県横須賀市の「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は、原子力空母母港化の是非を問う住民投票条例を求める三万七千八百五十八人分の署名を蒲谷亮一市長に提出しました。これをうけて蒲谷横須賀市長は条例制定の可否について、二月上旬に招集する市議会にはかることになります。
憲法に根拠がある
政府も横須賀市長も、市民の頭越しで一方的に原子力空母の母港化を決めました。とくに蒲谷市長は「原子力空母ノー」を公約に掲げて当選したにもかかわらず、母港化を認めました。市民がこの一方的決定に反発し、みずからの意思で判断したいと主張し住民投票条例の制定を求めるのは当然のことです。
原子力空母の母港化は原潜の短期間の寄港と違って、一年の半分は横須賀港に停泊し、ここを世界各地に“殴り込む”本拠地にすることを意味します。
核事故の危険が大きくなるのは避けられません。日米両政府がいくら核事故はおこらないといっても、寄港をくりかえしている米原潜が現に放射能漏れをはじめとした核事故をおこしていることは、周知の事実です。
原潜ホノルル号が昨年横須賀港を出ようとしたとき、放射性物質を漏出させたにもかかわらず、政府は究明を拒否しました。佐世保港(長崎県)やホワイトビーチ(沖縄県)での放射能漏出事故もあいまいにしました。一九九九年には横須賀配備空母と同型の空母ジョン・C・ステニスの核事故も起きています。政府の核事故隠しを放置したまま母港化を許すのは恐ろしいことです。市民が自ら原子力空母の母港化の是非を判断したいと願うのは当たり前です。
原子力空母の母港化を認めることは、在日米軍の“殴り込み”機能を強め、不法不当な米先制攻撃戦略を支える役割を認めることにつながります。母港化を拒否することは戦争をおこさせないという憲法九条を守る行動でもあります。
蒲谷市長は市議会に条例制定の可否をはかるさい、原子力空母母港化は「国と国との問題で、住民投票はなじまない」との意見書を添えるとのべています。憲法の地方自治の原則をまったく理解しない発言です。
憲法は内閣の事務として外交関係や条約の締結をうたっています(七三条)が、基地問題を規定はしていません。「国の専管事項」論は虚構です。地方が押し付けられるいわれはありません。
憲法は地方自治の原則を明記しています。それは地域の住民が「平和のうちに生存する権利」を保障するのが目的です。政府が住民を無視して平和的生存権を奪うなら、住民は地方政治に意思を反映し、自治体を通じて政府の施策にものをいう権利があるのです。
基地の街で三十六万の有権者のうち三万七千を超える署名が集まったこと自体、原子力空母の母港化について「自分で決めたい」との願いのつよさをあらわすものです。市長も市議会も市民の思いを正面から受け止め、住民投票条例の制定にふみきるべきです。
問われる議会の役割
住民の意思に従い、国政に反映させる立場こそ地方自治体のあるべき役割です。住民投票は市民が意思を示す不可欠の手段です。市長が拒否するのは許されません。
議会は地方自治の原則にもとづき、原子力空母の母港化の是非について市民が意思を表明する機会を保障する責務があります。