2007年1月21日(日)「しんぶん赤旗」
ATM撤去
「困る!!」 声次々
郵政公社の計画 詳細判明
病院・大学・役所…
日本郵政公社が進める局外設置のATM(現金自動預払機)撤去計画(本紙十九日付既報)の全容が二十日、明らかになりました。
それによると、計画の対象となっている局外ATM七百三十八台のうち、全国ですでに四百六十七台が撤去されました。逓信病院を含む病院や療養所、大学、区役所内など必要性の高い場所が多く含まれています。利用者からは、地方切り捨てへの不安の声が上がっています。
同公社では、設置先との話し合いによっては今後の存続もありうるとしています。しかし、反対署名をもとに交渉しても撤去が強行されたケース(京都府の舞鶴工業高等専門学校)も。
この計画は、同公社が郵政民営化(十月一日)をにらみ、二〇〇四年度から進めている「合理化」策の一環。前年度の利用が三万五千件に満たない局外ATMを対象に、機器の維持管理費用が一台当たり年間三百五十万円かかることなどの採算性を加味して撤去の基準が決められたといいます。
日本共産党の吉井英勝衆院議員と吉川春子参院議員は十八日、同公社に対し、採算優先でサービスを低下させるATM撤去計画の中止を申し入れています。
各地方ごとの対象ATMなど「計画」の詳細については、地方のページで随時報道していきます。
「サービス低下させない」の公約どこへ
「郵政民営化をしても“サービスを低下させない”といっていた政府の公約は、いったいどこへいってしまったんですかね」。長野県南箕輪村の信州大学農学部の学生(23)はいいます。
同学部の郵便局のATM(現金自動預払機)が撤去されるという張り紙が出され、「困る」という声が学生から相次ぎました。親からの仕送りや奨学金などの引き出しに利用していたからです。「ATM友の会」をつくり、郵政公社に説明を求める署名をよびかけると短期間に約二百三十人の署名が集まりました。当初の昨年十二月撤去は延期されたものの、公社側は今年三月に撤去する構えです。十五日には郵政公社側の説明会が学内で行われましたが、公社側は撤去理由に当初見込みより利用者が少ないことをあげるだけ。採算優先の考え方に学生たちは「地方の郵便局のATMはなくなっていくのでは」と納得できませんでした。
“郵政解散”までして、郵政民営化法を強行(二〇〇五年十月、自民党、公明党の賛成多数で可決・成立)した当時の小泉純一郎首相は「国民の貴重な資産である郵便局のネットワークを維持し、国民の利便に支障が生じないようにします」(〇五年九月二十六日、衆院本会議での所信表明演説)と表明。過疎地を含め身近にある郵便局が「ますます便利な存在になるようにします」(〇五年一月二十一日、衆院本会議での施政方針演説)とまでいっていました。
簡易郵便局についても一時閉鎖が急増しており、郵政民営化法を強行した自民・公明政治が問われています。