2007年2月1日(木)「しんぶん赤旗」

改憲へアメリカの圧力とは?


 〈問い〉 改憲についての動機には、陰に陽にアメリカの圧力が大きいものがあると思います。具体的にどのような圧力、干渉があったのでしょうか?(北九州市・一読者)

 〈答え〉 アメリカの政府関係文書の公開によって、同国が日本の憲法を改定する必要があるという議論をはじめたのが、日本国憲法が施行された翌年、1948年からであったことが明らかになっています。

 それは当時の国防長官であったフォレスタルが「日本と西ドイツの再軍備」の方針の研究を陸軍長官のロイヤルに指示したことから始まります。ロイヤル陸軍長官は48年5月、フォレスタル国防長官に「日本の限定的再軍備」の答申を提出しました。この答申は、翌年2月にアメリカの軍政首脳部の公的な方針として確定したのです。

 答申には、日本が軍隊をもつことは憲法改正やポツダム宣言の廃棄が必要となることから、まず警察力の形で軍隊に準ずる組織をつくり、アメリカが訓練や監督に責任をもつこと、将来は憲法を改定して、本格的に軍隊をもたせるための準備をやっていくということが明記されていました。これが、それ以後の日本における憲法改定の動きの一貫した原動力となってきたのです。

 ソ連の解体によって世界で唯一の超大国となったアメリカは、自衛隊をアメリカ軍の掌握と指揮のもとにおき、日本をアメリカの戦争に世界のどこであれ無条件に協力させようとしています。そのために自衛隊を「海外で戦争のできる軍隊」にし、日本を「戦争する国」につくりかえることが、憲法9条を改変する最大のねらいであることは明らかです。

 とくに2000年以降、テンポの速い、大規模化した改憲攻撃が公然とおこなわれるようになりました。

 その点について日本共産党23回大会決議は「改憲論は、けっして日本国民の要求から生まれたものではない。2000年10月にアーミテージ現米国国務副長官が中心になって作成した対日報告書が、『集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している』として、集団的自衛権の行使を求めたことが、自民党・財界の軍国主義復活をめざす志向と結びついて、あいつぐ海外派兵立法の強行と改憲論横行の起動力となった」と指摘しています。

 安倍首相は年頭記者会見で改憲と米軍との海外武力行使の「研究」にふれ、「ぜひ私の内閣として憲法改正をめざしたい。当然、参院選でも訴えていく」「集団的自衛権問題を含め憲法との関係の整理について…研究を進める」と述べています。

(竹)

〔2007・2・1(木)〕


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