2007年2月3日(土)「しんぶん赤旗」

定率減税半減による

保育料引き上げ

厚労省が是正通知出したが…

市区町村で異なる対応


 所得税の定率減税半減(二〇〇六年実施)による増税の影響で、「収入は増えなかったのに今年四月からの保育料が上がる」という子育て世帯が生まれる心配が出ています。厚生労働省は、増税が保育料アップにつながらないようにする基準改定の通知を出しました。しかし、保育料の決定権をもつ市区町村のなかには、基準改定を見送る動きもあり、厚労省通知にそった基準改定を迫る世論と運動が大事になっています。(宮沢 毅)

 認可保育園の保育料は前年の所得税額を基準に決めます(別表上・国の保育所徴収金基準額表=市区町村ごとの所得区分はさらに細かく分かれる所も多い)。そのため定率減税の半減は保育料引き上げに直結します。

 例えば、国の基準額でみると、〇五年の所得税が夫婦六万二千四百円の世帯(年収・夫二百万円、妻百八十万円)は、〇六年度の保育料は月三万円(三歳未満児)。ところが、〇六年の定率減税半減によって、同じ収入の世帯の所得税が七万二百円に増加しました。これにともなって保育料の所得区分が変わり、保育料は月四万四千五百円に上がります。月約一万五千円、年間十七万円以上のアップです。

 こうした事態を避けるため厚労省は昨年十二月、所得基準額の変更を地方自治体に通知しました。所得税区分を変えることで、所得税が増えても、いまの保育料が増えないようにする措置です。これは日本共産党の小池晃参院議員や佐々木憲昭衆院議員の「増税を保育料アップにつなげるな」という国会質問を受けて、実施したものです。

 しかし、実際の保育料の所得基準は、各市区町村が規則や条例の改正で決定するため、自治体ごとに対応が違う状況になっています。

 本紙が十五政令市に問い合わせたところ、所得基準変更を決めたのは、札幌市のみ。「変更する方向で検討中」としているのは六市でした(二日現在)。「検討中」と答えた市のなかには、「〇七年四月は難しいのではないか」「市の財政状況を見ながら判断したい」「他の市町村の対応を見ながら結論を出す」とのべるところもあるなど、「変更見送り」が生まれるおそれがあります。政令市以外の自治体でも「変更しない」と表明しているところもあります。基準額を改定しない市区町村は、「保育料の便乗値上げ」をしたことと同じです。

 札幌市では、昨年十月の市議会で、日本共産党の坂本きょう子議員が「所得は一円も増えないのだから、救済策が必要だ」と質問。市側が「税制改正にともなう影響が生じないように、見直しを検討したい」と答弁し、所得基準の変更を決めました。同市は、定率減税半減により、一万六千人余の保育園児の約14%にあたる二千二百五十人の子どもの世帯が年平均約四万九千円(最大約八万五千円)もの負担増になると影響を試算していました。

世論と運動で

 各市区町村は、一月末から二月にかけて〇七年度予算案を決め、議会などで審議が始まります。自治体ごとに基準額の改定を求める世論と運動が必要となっています。

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