2007年2月3日(土)「しんぶん赤旗」
軍機保護法復活につながるGSOMIAって何?
〈問い〉 最近、GSOMIAという言葉を目にしました。戦前の軍機保護法復活のようなものが狙われているということですが、どういうことですか?(東京・一読者)
〈答え〉 GSOMIA〈ジーソミア〉とは日米軍事情報保護一般協定(General Security of Military Information Agreement)のことです。
日米軍事同盟の一体化がすすむ中で、アメリカは、軍事情報を外部へ流出させないため、同協定の締結を急いでおり、日米交渉が進展しています。国内法整備も検討されています。
これは、軍事秘密情報を国民やメディアに漏えいさせないということにとどまらず、侵略戦争をすすめるために国民の目と口をふさいだ戦前の軍機保護法の復活にもつながるものです。
GSOMIAの中身は主に次の7点です。
(1)アメリカが譲渡した情報は、アメリカ政府の承認なしに第三国や組織に譲渡しない
(2)情報にたいしてアメリカと同等程度の保護措置をとる
(3)軍事秘密情報は、物理的形状・概観にかかわらずあらゆるものを含む
(4)軍事秘密情報はアメリカと同等程度の秘密区分に指定する
(5)一方の政府の情報保護専門官の訪問を認める
(6)情報の漏えい・流出の疑いがある場合は調査し情報譲渡国政府に通知する
(7)情報保護のための行政的措置を詳細に整備する。
とくに、「軍事秘密情報とは、政府の軍事情報もしくは資料であって、譲渡国政府の国家安全保障上の利益のため、適用可能な国内法や規則にしたがい、権限が与えられていない公表からの保護を必要とし、かつ、適切な保護当局によって秘密に指定されるものをいう」と定義しています。締約国が守るべき軍事秘密情報は、アメリカ政府の国家安全保障上の利益のために指定されるものというのですから、この協定が「アメリカのための軍事秘密協定」であることはいうまでもありません。
保護が義務付けられる軍事秘密情報は、無限定であり、インターネットから写真撮影やメモ、写生にいたる、軍事秘密情報が読み取れるすべてのものが対象になります。
締約国政府に、アメリカの防諜法(後述)と同等程度の刑罰をもつ軍事秘密保護法をつくらせる措置をとらせるというのがGSOMIAの本質です。
政府が戦争の道を歩むのを防ぐには、政府・軍部がどんな戦争計画をつくっているのか、軍事状況がどうなっているのかを「知る権利」は国民が平和に生きていくために不可欠です。GSOMIAは、この知る権利を抹殺するものといっても過言ではありません。
日本にはすでに、米軍の「機密」保護のために、刑事特別法、自衛隊法、国家公務員法などが存在します。今後、こうした法律の改正、あるいは軍機保護の新法が予想されるだけに、これを許さない世論の結集が求められます。(喜)
〈参考〉『前衛』2月号、山崎静雄「軍機保護法復活の陰謀」
〔2007・2・3(土)〕