2007年2月4日(日)「しんぶん赤旗」
離婚時の年金分割
4月開始で相談相次ぐ
合意により妻の受給分増
四月から始まる離婚時の厚生年金の分割制度について、全国の社会保険事務所や年金相談センターに、受け取れる年金額などの問い合わせが相次いでいます。
社会保険庁によると、相談を開始した二〇〇六年十月から三カ月間の相談件数は、約一万五千件にのぼりました。十月が約六千三百件、十一月が約四千八百件、十二月が約三千六百件でした。社会保険事務所を訪問した相談者は七千七百八十人で、そのうち約八割が女性でした。
いまの年金制度では、サラリーマンの妻が専業主婦(第三号被保険者)の場合、離婚後に妻が受け取れるのは基礎年金(満額で月六万六千円)だけです。夫はこれに加えて、払った保険料に応じた厚生年金(報酬比例部分)も支給されます。厚生年金は夫の名義になっているため、妻は受け取ることができません。
新しい制度では、四月以降に離婚した場合、夫婦の合意により、婚姻期間中に保険料を支払った分の厚生年金を分割して妻も受け取ることができるようになります。
夫が民間企業で四十年間働いて保険料を払い、その間、妻がずっと専業主婦だったモデル世帯の場合、離婚後に受け取る年金月額は、現行制度では妻が基礎年金分の六万六千円、夫はこれに厚生年金(約十万円)を加えた十六万六千円です。四月以降は、厚生年金を二分の一ずつ分割することで合意した場合、妻の年金が約五万円増えて、それぞれ十一万六千六百円ずつになります。
実際に受給できるのは原則六十五歳からなので、五十歳で離婚して年金分割に合意しても、受け取るのは十五年後になります。