2007年2月5日(月)「しんぶん赤旗」
介護保険改悪の矛盾深刻
ホームヘルパー全国交流集会
第七回ホームヘルパー全国交流集会(ホームヘルパー全国連絡会主催)が四日、東京都豊島区内で開かれ全国から約二百人が参加。分科会では、改悪介護保険法で昨年四月から「新予防給付」が始まり、軽度者の訪問介護利用が制限された結果、体調を崩したり在宅での生活が困難になっている実態などが報告されました。
改悪介護保険では、これまでの要支援の全部と、要介護1の大半が「新予防給付」に移されました。同給付の場合、事業者に支払われる訪問介護の報酬は月単位の定額制となり事実上、切り下げられました。この結果、多くの利用者が訪問介護の回数や時間を減らされています。
金沢市のヘルパーステーション所長は、新予防給付になり利用が制限されて状態が悪化したり、一人暮らしが不安になって老人ホームへ入所した人の例などを紹介。「新予防給付になると週三回までの訪問しかできず、それ以上は事業者の持ち出しか利用者の自費負担となる。必要な方への援助ができず、金銭的に余裕がない利用者のサービスは低下する。憲法二五条の生存権にもかかわる問題だ」とのべました。
札幌市にあるヘルパーステーションの女性は、自立を促す予防給付の訪問介護で食事作りができるようになったものの精神的に不安定になった八十三歳の男性のことを報告しました。
男性は、以前は週三回各二時間ずつ訪問介護を利用していましたが、新予防給付になり、週二回各一時間半に減らされました。ヘルパーの指導で食事が作れるようになりましたが、回数減の不安と緊張で睡眠薬を飲まなければ眠れなくなりました。体調が悪化して要介護1に認定され、サービスが元通りになると「精神的にも落ち着き安心する」と語り、薬も飲まないようになりました。山本さんは「予防訪問介護の時間と回数の制限はヘルパーの家事援助の有効性を失わせる場合がある」と報告しました。