2007年2月8日(木)「しんぶん赤旗」
発注 日本のゼネコンに
グアム米軍住宅 1戸8千万円
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在沖縄米海兵隊の米領グアム「移転」問題で、日本政府は、日本の大手ゼネコンに米軍家族住宅の建設を発注する計画であることが七日までに分かりました。他国領土の軍事施設建設に日本国民の税金を投入するという、歴史的にも国際的にも例のない機会を利用してゼネコンの大もうけが狙われています。
日米両政府は昨年五月の在日米軍再編「最終報告」で(1)沖縄の米海兵隊員八千人とその家族九千人をグアムに「移転」する(2)「移転」費用約百三億ドル(約一兆二千三百六十億円=一ドル百二十円)のうち約六割にあたる約六十一億ドル(約七千三百二十億円)を日本が負担する―ことで合意しました。
日本側負担のうち、司令部棟や兵舎の建設などは日本政府の直接の財政支出によって行います。一方、米軍家族住宅の建設については、政府が九日に閣議決定する米軍再編促進法案で、日本の政府系金融機関である国際協力銀行に米軍家族住宅建設への出資などの権限を付与。国際協力銀行や民間銀行、民間企業の融資・出資で「特定目的会社」(SPE)を設立し、同社が住宅の供給や管理・運営を行います。
防衛省によると「SPE参加企業は日本主導で選定し、ゼネコンの参加も想定」されています。
日米両政府が合意した米軍家族住宅建設費は総額で最大約二十五・五億ドル(約三千六十億円)で、約三千五百戸の建設を想定。一戸あたり最大八千七百四十万円になります。在日米軍の平均的な家族住宅の建設費約三千万円と比べて法外な価格です。
政府の説明によると、住宅の建設・管理費は米兵が支払う家賃で回収します。しかし回収には「五十年かかる」(防衛省)上、SPEが供給する住宅への居住は「米兵の任意で強制はできない」(同省)としており、確実に回収される保証はありません。その際、国際協力銀行が債務保証を行うことになります。
もともと、実際にグアムに移転する海兵隊の兵力は二千―三千人程度とされ、残り数千人はハワイなどからの移転です。「沖縄の負担軽減」とは無縁のグアムの基地強化に、際限のない税金投入が狙われています。
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