2007年2月8日(木)「しんぶん赤旗」
国会正常化について
市田書記局長、穀田国対委員長が会見
国会の正常化に向けて六日深夜に開かれた与野党国対委員長会談の終了後、日本共産党の市田忠義書記局長、穀田恵二国対委員長が七日未明行った記者会見の内容は次の通りです。
市田書記局長 いま与野党国対委員長会談が行われ、国会正常化の合意をみました。この間の一連の動き全体を通して、どのように共産党として考えているかについて最初にのべます。
まず、柳沢厚生労働大臣の「子どもを産む機械、装置」との発言、あるいは六日の閣議後の記者会見での「若い人は結婚したら子どもを二人以上を持ちたいと考えているのは健全だ」という発言などを含めて、女性の人格、尊厳を根本から踏みにじる重大な発言であり、厚生労働大臣の資格はありません。当然罷免すべきだとわれわれはずっと主張してきました。
同時に、罷免すべきだという私たちの要求が受け入れられないからといって、審議を拒否する立場は正しくないとわが党は考えてきました。柳沢厚生労働大臣の発言と、それをかばって罷免しない安倍首相の問題点を審議を通じて追及し、国民の前に事実を明らかにして辞任に追い込むのが私たちの立場でした。ところが、与党だけで一方的に審議をはじめるという不正常な国会運営がおこなわれたので、抗議し、退席しました。これは審議拒否ではありません。
共産党提案が正常化へ道筋
その立場にたって国会正常化のために動いたわけです。五日午前八時四十五分、自民、公明両党国対委員長に穀田国対委員長が与野党国対委員長会談を開いて、国会の正常化をはかるべきだと申し入れました。それにたいして与党の国対委員長は「その用意がある」と回答しました。そして、それをうけて、与党側は、野党に与野党国対委員長会談を申し入れてきました。さらに、六日午後一時半、再度、与党の国対委員長に補正予算の補充的質疑を衆参で少なくともそれぞれ一日以上とって、それから本予算の質疑に入るべきだと申し入れました。これは、補正予算が与党単独で採決されたのは、四十年来なかった異例な異常な事態だ。したがって、補正予算の補充的質疑をきちんとやってから本予算の審議に入るべきだということです。この申し入れについては与党国対委員長は「傾聴に値するご意見だ。党内にいろいろな意見があるが、誠意をもって対応したい」との答えでした。
そして、六日午後十一時二十分に与野党の国対委員長会談が開かれ、われわれが努力して提案してきたことが実って正常化されたことについて大変よかったと考えています。この一連の提案が正常化への道筋を開きました。
今後は、国会の審議を通じて、柳沢発言の問題を含めて徹底的に追及していきたいと考えています。
与党も認めた補充質疑合意
穀田国対委員長 与野党国対委員長会談では、七日に正常化する、「予算案の審議に入り、この際、少子化その他の集中的審議を行います」との合意がなされました。
私は、正常化のための提案をしてきたことが実ってよかったと思っているとのべました。
あわせて、「この提案が補充的質疑という意味合いを含んでいるのか」という点をただしました。これにたいして坂本自民党筆頭副国対委員長の方から「『少子化その他の集中的審議を行う』の文言の意味合いにそれを含んでいると解してもらってけっこうだ」という話がありました。
なぜこのような問題をただしたかというと、与党の一方的な単独採決・審議・強行の汚点を残してはならないという立場から主張したわけです。補正予算案の審議を与党だけで一方的に強行したのは間違いであり、そのような異常なことを前例としないためにも、補充質疑という形で処理をしたことを残す必要があったわけです。与党側がそういう含意があることを認めたのはよかったと思います。
――野党三党首で会談していたが、共産党とは立場は違うのか。四党で足並みがそろうということはなかなかないのか。
市田 今回の問題をめぐっては、明確に立場が違います。だから、私たちをのぞく三党で幹事長会談が行われたり、党首会談は行われました。立場が違うからそういう会談となった。ただ、こういうことがあったからといって、今後いっさい連携することはない、ということではない。国民の暮らしにとって少しでもプラスになることで一致点があれば連携するという私たちの立場はかわりません。ただ、自分たちの言い分が通らないから審議拒否することは間違っていると一貫して主張してきました。議会制民主主義に反する不正常な事態が生じた場合は、抗議し、退席することはありますが、自分たちの主張が通らなかったから審議拒否だというのは正しくありません。これまでもそう主張してきたし、これからもそのスタンスでいきたい。
一部に、「野党三党が国会正常化し明日から審議に入ることで合意した。共産党もそれに同調した」という報道がされていますが、これはいまのべたようにまったく事実と違います。