2007年2月8日(木)「しんぶん赤旗」
新型核弾頭予算を3倍化
米エネルギー省
議会の承認は微妙
五日、公表された二〇〇八会計年度(〇七年十月―〇八年九月)の予算教書で米エネルギー省は、「老朽化」した核弾頭を改良するという「信頼できる交代用核弾頭」(RRW)計画に、前年度比220・4%増の八千八百八十万ドルを計上しました。しかし同計画は同省のもくろみ通りには進んでいません。この予算も議会での承認が得られるかどうか微妙です。(ワシントン=山崎伸治)
RRW計画は、一九六〇年代に製造され「老朽化」した核弾頭を「信頼性の高い」核弾頭に交換するというもの。事実上の新型核兵器開発計画です。今回の予算増要求は、米国の核兵器を管理するため議会が設置し、国防総省とエネルギー省で構成する核兵器理事会が昨年十二月一日、同計画を継続する方針を決めたことを受けたものです。
同計画を推進するエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)はその方針を受け、同日、「今後数週間」でローレンス・リバモアとロスアラモスの両国立核兵器研究所がそれぞれ提出した新弾頭の設計案のいずれかが選ばれると発表しました。
ところが選定結果は、今まで発表されないまま。ボドマン・エネルギー長官は二月六日の記者会見で、「エネルギー省として予備的な判断をしており、国防総省と作業を進めている」と述べましたが、発表の期日に触れませんでした。
決定の遅れについて一月二十三日付のロサンゼルス・タイムズ紙は、NNSAが「共同設計案が可能かどうかを探っている」と報道。一つだけを選べば「二つの核研究所を維持する費用を正当化するのが困難になる」という政治的な理由があると指摘しています。
サンフランシスコ・クロニクル紙によると、RRW計画の「生みの親」といわれるホブソン下院議員(共和党)は昨年十一月、エネルギー長官に書簡を送り、同省が計画する核兵器関連施設の統合・再編が不十分なままでは、同計画の予算は承認しないと伝えました。
同議員は当時、歳出委員会のエネルギー・水開発小委員長。民主党が多数派となって交代しましたが、後任のビスクロースキー小委員長(民主党)も同じ考えと伝えられています。
しかも、核兵器の起爆装置として使うプルトニウムの寿命が、従来考えられていたよりもはるかに長いとの研究結果も明らかになり、RRW計画を実施する根拠すら揺らいでいます。
同計画を推進するNNSAは昨年、機密情報などの安全管理に手落ちがあったことが次々と発覚。ブルックス局長は責任を問われ、一月に辞職。議会の批判も強まっています。