2007年2月10日(土)「しんぶん赤旗」

生態系や住環境 どう守る ?


 〈問い〉 カエルのツボカビ病が問題になっていますが、それにかぎらず生態系の破壊がとても心配です。日本共産党は、どうお考えですか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 人類生存の基盤である生態系や住環境をまもることは、安全に暮らせる経済・社会をきずき、持続可能な発展を可能にするために重要です。

 昨年12月、カエルの死因として国内で初確認されたツボカビは中南米やオーストラリアの両生類を激減させたカビです。ヒトを含むほ乳類への影響はありませんが、両生類では致死率が90%で、生態系に壊滅的な被害を及ぼす恐れがあります。

 日本はペット輸入をはじめ外来種生物の大量輸入国です。それが日本の固有種の生息を脅かしています。動植物の輸出入検疫を強化し、後手にならないよう内外の知見にもとづくリストを作成し輸入を規制すべきです。

 米軍の岩国基地で繁殖した毒グモが基地外にまで広がったり、日本で承認されていない遺伝子組み換え植物の自生が確認されています。港湾や空港、基地などでは意図せず付着などで入り込む可能性があり、こうした施設周辺の監視や固有種を脅かす外来種の除去をいっそう積極的に進めるべきです。

 乱開発を防ぎ自然の維持と回復を盛り込んだ干潟保全法や、野生生物保護基本法などの制定も必要です。

 生態系の維持だけでなく、身近な住環境からも、環境を守る行動を起こすことが大切です。自動車の排ガスが引き起こす大気汚染による患者は依然として増えており、司法は相次いで、国・都・道路公団に被害者への賠償を命じています。大都市部への排ガスの基準不適合車の流入を抑え、幹線道路における汚染状況のひどい地域での走行規制など、汚染対策も不可欠です。路面電車など公共交通機関へのシフトや、パーク・アンド・ライドの推進、ロード・プライシング制(混雑緩和のための課金)の検討で自動車流入を抑制することは、都市の過密化を避け、都市が暑くなるヒートアイランド化を抑え地球温暖化の防止に役立ちます。

 環境破壊を引き起こすような大規模開発をやめさせるとともに、環境アセスメント制度を改善し、住民参加と情報公開、代替案の検討を義務づけることも必要です。さらに欧米で導入されている政策の計画段階からの環境アセスメント(戦略的アセスメント)の実施を急ぐべきです。

 大気汚染についての判決は自動車メーカーの社会的責任を指摘しましたが、化学物質などもふくめ製品の製造・使用・廃棄が、環境にどのような影響をあたえるかをメーカー自身が評価する製品アセスメントの実施・公表を求めることも大事です。将来にわたって安全な環境をきずくためには、(1)汚染者負担の原則(2)予防原則(3)住民参加(4)徹底した情報公開―という視点が欠かせません。(佐)

 〔2007・2・10(土)〕


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