2007年2月11日(日)「しんぶん赤旗」
6カ国協議 調整続く
中国は修正案提出せず
【北京=菊池敏也】北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議は三日目の十日、中国が示した合意案をめぐり、二国間協議などを通じた調整作業を続けました。
同日夜、記者会見した中国外務省の秦剛報道官は、「討論の焦点は、北朝鮮に対する経済、エネルギー協力の問題だ」と指摘し、この問題で「隔たりが比較的大きい」と述べました。中国は合意文書の修正案を出しませんでした。
北朝鮮は、核放棄に向けた「初期段階措置」として寧辺の核関連施設の閉鎖などを受け入れる姿勢を示していますが、その見返りとして二百万キロワット相当のエネルギー支援などを求めていることが報じられています。
これは、一九九四年の米朝枠組み合意にもとづき、北朝鮮に供与されることになっていた軽水炉二基分にあたります。北朝鮮はさらに、米国の敵視政策の撤回を求めているとの報道もあり、こうした北朝鮮への見返り措置をめぐり調整が難航しているもようです。
ヒル米国務次官補は十日午前、「われわれは『閉鎖』という言葉を使うことで理解をえている」と述べ、争点が北朝鮮の核関連施設の扱いをめぐる表現にあるのではないことを示唆しました。
佐々江賢一郎アジア外務省大洋州局長は十日夜、記者団に対し、「結論が出ない。幾つかの問題で解決方法が見いだせない」と述べ、「厳しい状況が続いている」ことを明らかにしました。同局長は同日午前、「産みの苦しみの時期に入った」と述べていました。
新華社電によると、ロシア首席代表のロシュコフ外務次官は同日、合意文書案は最終的に二ページから成る共同声明の形になるとの見通しを示唆しましたが、最も困難な点は「(北朝鮮への)経済支援の規模とその時期・期間だ」と述べたとも伝えられます。
韓国の首席代表・千英宇外交通商省朝鮮半島平和交渉本部長は十日の協議終了後、記者団に対し、「あすも交渉をしなければならない」と述べ、北朝鮮への見返りに関する議論を中心に話し合いが行われていると語りました。