2007年2月14日(水)「しんぶん赤旗」

北朝鮮核 放棄へ一歩

６カ国合意 見返り重油支援

　【北京＝菊池敏也】八日から北京の釣魚台国賓館で開かれていた北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議は十三日午後、全体会議を開き、北朝鮮が核放棄に向けた具体的な措置を取るのに対し、五カ国がエネルギーなどの支援を与えるとする共同文書を採択して閉幕しました。日本と北朝鮮が日朝平壌宣言に基づき国交正常化協議を始めることも明記されました。次回の協議は三月十九日に開かれます。

　今回の共同文書は、北朝鮮の核放棄と日朝・米朝国交正常化など北東アジアの平和と安定を盛り込んで二〇〇五年九月に採択された共同声明を履行するためのもの。朝鮮半島非核化への具体的な第一歩となります。

　共同文書は六十日以内に実施すべき核放棄への「初期段階措置」として、北朝鮮が寧辺の核施設を停止・封印し、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）の査察を受け入れる一方、他の五カ国が北朝鮮に五万トンの重油に相当する緊急エネルギー支援を行うと明記しています。

　また、米朝両国は国交正常化に向け二国間交渉を開始、米国は北朝鮮に対する「テロ支援国」指定を解除する手続きと、対敵通商法の適用を終了する作業を進めます。

　初期段階行動を実施し、共同声明を全面的に実行するために、(1)朝鮮半島非核化(2)米朝国交正常化(3)日朝国交正常化(4)経済・エネルギー協力(5)北東アジアの平和・安全保障メカニズム―の五つの作業部会を設置し、三十日以内に会合を開くとしています。

　さらに共同文書は「初期段階および次の段階の期間中」の措置として、北朝鮮がすべての核計画を全面的に申告し、核施設を無能力化するのに応じて、北朝鮮に対して重油九十五万トン相当の経済・エネルギー・人道援助を実施するとしています。

　初期段階の行動が実行に移された後、六カ国の外相会議を開き、北東アジアの安全保障面での協力を検討。さらに、朝鮮半島の恒久的平和体制を直接の当事国（米中韓と北朝鮮）が協議します。

　六カ国協議議長の武大偉外務次官は､｢朝鮮半島と北東アジアの平和、安定、発展に役立つだけでなく、関係諸国の相互関係の改善と発展、調和の取れた北東アジアの構築にも役立つ」と評価し、「六カ国協議に生命力があることが改めて表明された」と述べました。