2007年2月14日(水)「しんぶん赤旗」

国際世論の包囲実る

6カ国協議合意

解説


 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が採択した共同文書は、二〇〇五年九月の共同声明の「実施のための初期段階の措置」と位置づけられています。核問題の平和的・外交的解決をめざす六カ国協議は、朝鮮半島の非核化と北東アジアの恒久平和をめざす共同声明の実現に向けた重要な一歩を踏み出しました。

 六カ国協議は、第四回協議(〇五年九月)で、「朝鮮半島の非核化」の原則と道筋を確認した共同声明を採択しながらも曲折をたどりました。

 北朝鮮は、共同声明の採択を前後して米国が発動した「金融制裁」に反発し、「制裁を続ける限り六カ国協議に参加しない」と協議への参加を拒み続けてきました。そればかりか、国際法や自ら署名した共同声明をも踏みにじり、ミサイル発射(〇六年七月五日)、核実験(同年十月九日)を強行するに至りました。

 これに対し国連安全保障理事会は、北朝鮮の核実験を「国際の平和と安全への明白な脅威」と認め、加盟国に制裁措置を求める決議を全会一致で採択(同年十月十四日)。北朝鮮に、即時無条件での協議への復帰、核兵器・核計画の廃棄を求めるとともに、外交的解決に向けた努力を加盟国に呼びかけました。

 決議を受けて各国は北朝鮮への制裁措置を実施。議長国・中国や非同盟諸国などをはじめ、北朝鮮に協議への復帰を求める説得が続きました。

 国際的な圧力の広がりと世論の包囲のもと、中国の仲介が実を結び、十月末には米中朝首席代表が協議再開で合意。今年一月のベルリンでの米朝首席代表協議では、「一定の合意」(北朝鮮外務省)が成立し、今回の協議での共同文書採択につながる転機となりました。

 共同文書は、北朝鮮の核放棄に向けた「初期段階措置」として、再処理施設を含めた寧辺の核施設の六十日以内の停止や封印を明記。さらに次の段階として北朝鮮が他のすべての核施設の無能力化に進んだ場合、他の五カ国が経済・エネルギー支援を実施するという枠組みを示しました。

 「初期段階」の計画とはいえ、北朝鮮の核実験という事態の中で、この問題の外交的解決をめざす六カ国協議の枠組みが再び力を発揮し、合意を実現したことは、大きな意義を持ちます。

 共同文書は、日朝、米朝関係正常化、北東アジアの安全保障などについて協議する作業部会の設置も明記しました。核問題解決を入り口に、北東アジア地域に恒久平和を構築するという共同声明が示したビジョンの実現に向けた協議の仕組みがつくられることになります。

 「初期段階」の合意を実際に履行し、共同声明の実現にさらに一歩、足を踏み出せるかどうかは、今後の各国の行動にかかっています。(中村圭吾)


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