2007年2月14日(水)「しんぶん赤旗」
国家あって国民の生活なし
政府側答弁に志位氏が感想
日本共産党の志位和夫委員長は十三日、国会内で記者会見し、衆院予算委員会での質問に対する政府側の答弁についての感想をのべました。
志位氏は、柳沢伯夫厚労相がOECD(経済協力開発機構)の資料について“二〇〇〇年当時の数字だ”と古いかのように答弁したのに対し、「二〇〇〇年以降の五年間で、貧困の実態は、ますますひどくなった。(政府側の言い分は)論外だ」と批判しました。
また、児童扶養手当削減、母子加算の廃止が、子どもの貧困を増やす方向に働くという批判に対して、まともな答弁はまったくできなかったと指摘。とくに母子加算廃止について、政府側が衆院本会議でおこなった答弁を繰り返したことを挙げ、「政府がまともな立脚点をもっていないことを示した」とのべました。
最低賃金の問題で安倍首相は“中小企業対策と同時並行してやる”と強調してみせたことについて志位氏は、「やろうとしているのは、生活保護水準程度までの若干の見直しであって、最低賃金の抜本的な引き上げは、中小企業を人質にとってやらないということだ」と指摘。「結局、最低賃金で働いても、貧困から抜け出せない社会であってもいいことになる。総理の答弁として非常に重大だ」と強調しました。
そのうえで志位氏は、「具体的な生々しい貧困の実態から出発して、具体的にただすと、どの問題でも政府が今やっていることはデタラメだということが浮き彫りになった」とのべました。
記者団から、柳沢発言に対する柳沢氏の答弁についての感想を問われた志位氏は、「柳沢発言の問題は、言葉遣いの問題ではない。思想が間違っている。女性を国家の人口政策の道具と考える思想が一番の問題だ」と指摘。そのうえで、最も困っている母子家庭や最低賃金の生活を強いられている人たちの実態から出発せずに、国家の都合に合わせて、児童扶養手当を削減し、母子加算を廃止することを当然視していることを指摘。「『国家あって国民の生活なし』ということを、全体の質疑を通じて強く感じた。これは、柳沢発言に通底するものがあると思う」とのべました。