2007年2月15日(木)「しんぶん赤旗」
主張
6カ国合意
誠実な履行が問われている
北京で行われていた中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、アメリカによる六カ国協議は、二〇〇五年九月の共同声明が明記した朝鮮半島の非核化の実施にむけた「初期段階の措置」についての合意文書を採択して閉会しました。
日本共産党は、核兵器の廃絶と朝鮮半島の非核化のため努力をつくすよう強く求めてきた党として、非核化の第一歩として新しい合意を歓迎し、誠実な履行を求めるものです。
非核化は切実な課題
朝鮮半島から核兵器の脅威をとりのぞき、非核化することは、アジアの平和と安全にとって重大問題です。
朝鮮半島に隣接し、核兵器の廃絶を願う唯一の原爆被爆国日本の国民にとって、朝鮮半島の非核化は決定的に重要な意味を持っています。
北朝鮮は〇五年九月の六カ国協議で「朝鮮半島の検証可能な非核化」を基本目標にした共同声明に賛成し、みずから「すべての核兵器および既存の核計画を放棄する」と約束しました。寧辺(ニョンビョン)にある核施設の活動停止と封印、国際査察、エネルギー支援など今回の合意文書に盛り込まれた一連の措置は、北朝鮮に核兵器とその開発計画を放棄させる最初の具体的な一歩です。「初期段階の措置」を誠実に実行し、朝鮮半島の非核化につないでいくことが重要です。
北朝鮮は〇五年の共同声明で核開発の「放棄」を約束しておきながら、その後、弾道ミサイルの発射や核実験を強行してきました。こうした合意違反があってはなりません。
昨年十月、北朝鮮が核実験を強行したさい国連安全保障理事会が全会一致で採択した決議は、北朝鮮の核実験に抗議するとともに、軍事的措置で対抗するのではなく、外交的措置での解決を求めました。とくに六カ国協議の当事国にたいして、「共同声明の迅速な実施のため、外交努力の強化」を求めています。
今回の合意に到達したのは、北朝鮮が核開発にたいする国際社会の抗議と批判の強さを無視できなかったことと、六カ国協議関係国が国際社会の総意にもとづいて忍耐強く平和的・外交的交渉をおこなってきたことが背景にあります。あくまでも問題を平和的・外交的に解決することが国際社会の行動の指針です。
合意文書が一連の初期的措置を確認するとともに、共同声明を完全に実施するため、朝鮮半島の非核化など五つの作業部会を設置したことは重要です。
作業部会での協議では、寧辺の核施設の「活動停止・封印」にとどまらず、すべての核兵器と核開発の放棄に結びつくよう、実効ある措置を具体化していくことが求められます。北朝鮮と関係国は、国際社会の総意に沿ってそのための努力をつくすべきです。
問われる日本政府
合意文書は、日朝関係についても、「平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとる」ことを明記しました。それは日朝間の問題解決が、あらためて六カ国が取り組んでいる全体の課題に位置づけられたことを意味します。
日朝間には、拉致や過去の清算などの懸案があります。日本政府はそれらを解決し、国交を正常化するための真剣な努力をつくすべきです。同時にそうした二国間の協議を、朝鮮半島の非核化の実現に向け日本に課せられた役割への取り組みと結びつけることが求められます。