2007年2月16日(金)「しんぶん赤旗」
知事会・規制改革会議… 異論が続出
教育再生会議 教委「改革」案
政府の教育再生会議(野依良治座長)が今月五日にまとめた教育委員会の見直し案について、全国知事会などの地方団体や政府の規制改革会議(草刈隆郎議長)などから異論が続出しています。
塩崎恭久官房長官は十五日の記者会見で「第一分科会がまとめたもので、再生会議で正式に決めたとは聞いていない」「幅広い国民の意見を聞きながら中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で議論し、法案化し、与党プロセスを経て、内閣で決める」と述べ、再生会議の見直し案の変更もあり得るという考えを示しました。
再生会議の見直し案は、教育委員会に対し、法令違反や「著しく適正を欠き教育本来の目的達成を阻害している」として、文部科学相が是正勧告・指示を行えるようにするなど、国の教育への介入を強化する内容になっています。
背景には、いじめ自殺への対応などでの教育委員会への批判を口実にして、この間の「地方分権改革」で地方教育行政法から消えた国の教育委員会への権限を復活させようという文科省の思惑があります。
再生会議の見直し案に対し、規制緩和の司令塔である規制改革会議が十五日、大臣による教委への指示・勧告の形は極力避けるべきだとする意見書を公表。「教育に関する国の権限を強化するということのない制度設計とすべきである」としました。同会議は市場万能主義の立場から教育分野でも規制緩和を求めてきましたが、国の権限を強める再生会議の提言に反発した格好です。
地方自治体も再生会議の見直し案に反発しています。六日に全国知事会、市長会、町村会が連名で、教育委員会に対する文科相の権限強化は、地方分権の観点から受け入れられないとする声明を出しました。都道府県の教育委員長や教育長でつくる協議会も十三日に「各地域が当事者意識と責任を持って教育に取り組むという地方分権の視点に立って、議論がなされるべきだ」とする意見書を再生会議に提出。会議の公開などを求めました。
市長会の「教育における地方分権の推進に関する研究会」も市町村主体の教育行政実現を目指す提言を十四日にまとめ、座長の北脇保之静岡県浜松市長は「教育再生は、国主導では実が上がらない」と再生会議の案に反対しました。
内閣の実績づくりが最優先と、議事も非公開で、関係者の話も聞かずに超スピードで提言をまとめた教育再生会議。こうした強引な手法への反発が広範な国民だけでなく、地方団体にも広がりました。