2007年2月17日(土)「しんぶん赤旗」
元「慰安婦」が初証言
米下院委 日本政府の謝罪求める
【ワシントン=鎌塚由美】アジア太平洋戦争時に旧日本軍によって性奴隷にされた元「従軍慰安婦」が十五日、米議会公聴会で初めて証言しました。「慰安婦」問題で日本政府に公式な謝罪を求める決議案が今議会に提出されていることに伴う公聴会です。
下院外交委員会のアジア・太平洋・地球環境小委員会で証言したのは、元「慰安婦」の韓国人の李容洙さん(79)と金君子さん(81)、オランダ出身でオーストラリア人のジャン・ルフ・オハーンさん(84)。兵士に次々とレイプされた体験を語りました。
金さんは、日本政府に「謝罪しないなら、私の青春を返せ」と訴え。オハーンさんは、日本政府が償い金として民間の「アジア女性基金」を設立したことについて「侮辱だ」と批判、「行動の伴う謝罪」を求めました。
デナ・ローラバッカー議員(共和党)は、「日本政府はこれまで何度も謝罪してきた」と述べ、決議は必要ないと表明しました。
これに対し、決議案を提出したマイク・ホンダ議員(民主党)は、「『慰安婦』の悲劇の責任を受け入れることこそ、日本のような大国がすべきだ」「わが政府も(過去に)間違いを犯したが、英知でその誤りを認める厳しい選択をした」と発言。政府による補償こそ謝罪だと指摘しました。
日本の戦後補償問題の専門家である「アジア・ポリシー・ポイント」のミンディ・コトラー理事長は、「慰安婦」に対し日本政府が公式に謝罪したことは「一度もない」と強調。首相の「謝罪」は「アジア女性基金」を受け取った女性にのみ送付しているだけで、日本政府を代表するものではないと指摘しました。
日本政府は、今議会でも「慰安婦」決議案を阻止する構えを強めています。加藤駐米大使は、日本はすでに謝罪しているとする書簡を同小委員長に送っています。
日本政府と契約する有力ロビー事務所「ホーガン&ハートソン」は、日本政府は「何度も謝罪している」とする資料を議会で配布し、「日米関係に悪影響を及ぼす」とロビー活動をしています。