2007年2月20日(火)「しんぶん赤旗」

福祉切り捨て、大企業応援――日本共産党の前進で異常な「逆立ち」ただそう

神戸演説会 志位委員長の訴え(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が十八日、神戸市でおこなった演説のうち、地方政治の部分(要旨)を紹介します。


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(写真)訴える志位委員長=18日、神戸市

 地方政治をみますと、自民、民主の違いはますますなくなり、まったく同じ陣営になってしまいます。兵庫県議会でも、神戸市議会でも、自民、公明、民主はすべて文字通りの与党。知事や市長が出す議案の「賛成マシン」ですから、選挙の争点は、自公民「オール与党」か、日本共産党かです。そのさい、二つの特徴をみていただきたい。

“トリプルパンチ”の追い打ち

 第一の特徴は、「福祉の心」がないことです。

 昨年、定率減税半減などで「雪だるま負担増」となり、今年は定率減税廃止で二度目の「雪だるま負担増」がおしつけられようとしている。その時に、「オール与党」の県政・市政はなにをやっているか。

 県は、「県民緑税」と称して、一人あたり八百円を徴収。神戸市は、介護保険料を35%値上げし、所得の低いお年寄りの市民税減額(二分の一)を廃止してしまいました。「雪だるま負担増」に“トリプルパンチ”の追い打ちです。年金月額二十万円のお年寄りの負担は、二〇〇四年度の九万一千円から、〇八年度は三十六万四千円に跳ね上がります。

 自治体は「住民福祉の機関」です。国の悪い政治から住民の福祉と暮らしをまもってこそ自治体です。追い打ちをかける「オール与党」にきびしい審判を今度の選挙でくだそうではありませんか。(大きな拍手)

行政が国保証の“取り立て屋”に

 さらに県は、高すぎて国民健康保険料を払えない人から保険証を取り上げ、資格証明書に置き換え、〇一年の千三百世帯から九千三百世帯(〇六年)に増えています。国保料をどんどん引き上げ、払いたくても払えない人から保険証を取り上げ、窓口で十割負担を強いる。命を捨てろというのと同じで、絶対にやってはならない“禁じ手”ではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 これは国の号令で始まったものですが、だからこそ自治体の姿勢が問われています。それなのに、兵庫県では自民党県議が〇一年に「滞納世帯十三万のうち、(取り上げは)1%しかない」などといいました。国の手先になって「オール与党」が尻をたたき、行政が“取り立て屋”になっている。(「ひどい」の声)

 生活保護では、神戸市が、生活保護世帯への独自の見舞金、一人世帯で夏に六千三百円、冬に七千六百円を廃止してしまいました。

 理由に「予算不足」を挙げますが、それは成り立ちません。朝日訴訟の東京地裁判決(一九六〇年)は、「憲法二五条にいう『健康で文化的な生活』とは、国民の権利であり…それは予算の有無によって決められるのではなく、むしろこれを指導支配しなければならない」としています。これが憲法の精神なのです。(拍手)

 「オール与党」にないのはお金ではない。「福祉の心」です。日本共産党を伸ばして自治体に「福祉の心」をとりもどそうではありませんか。(大きな拍手)

神戸空港の破綻がはじまっている

 第二の特徴は、大企業呼び込みと、巨額補助金に野放図に税金をばらまくということです。

 神戸空港開港から一年がたちましたが、早くも三つの症状がはっきりあらわれてきました。

 第一に、空港の経営が成り立ちません。一月の乗り入れ航空機の搭乗率は52・7%です。航空機の採算ラインは搭乗率60%前後で、一路線で1ポイント下がるごとに年間一千万円の赤字といわれます。わずか一年で四便が廃止・休止に。空港経営の穴埋めに税金が使われる危険があります。私もここに来るのに神戸空港を利用しようと思っても、都合のいい便がない。(笑い)

 第二に、借金返済のめどがたちません。空港島建設の借金二千億円は、市が造成した空港北側の土地七十七ヘクタールを民間に売却して賄う計画でした。ところが売れたのは〇・三ヘクタールだけ(笑い)。「空港を造れば企業が呼び込める」という宣伝は、関西空港で大破綻(はたん)し、神戸空港でも破綻が始まっています。

 第三に、ムダがムダを呼んでいます。神戸空港と関空を結ぶ海上アクセスが大事と、赤字で五年間休業の船便を「神戸・関空ベイ・シャトル」として昨年七月に再開しました。逆にお客が関空にいってしまうんじゃないかと思いますが(爆笑)、乗客は定員百二十人にたいし、平均十五人(笑い)。わずか半年で二億一千万円の赤字です。そのうえ、神戸空港と関空を結ぶ「大阪湾海底トンネル」(総事業費七千億円)を県と市が計画しています。

 このような事態を招いた自公民「オール与党」の責任は本当に重い(大きな拍手)。三十五万の直接請求署名が集まった神戸空港の是非を問う住民投票条例案を否決し、三十一万人が参加した市民投票の結果も無視した結果です。

 驚いたことに、民主党の県議は「海上アクセスのみでは、気象条件があり、欠航されることもあります」(笑い)、「そこで両空港を海底トンネルで結ぶという雄大な構想があります。…早期に具体化すべき」ととんでもないことをいっています。反省がない勢力には県民の審判をくだすしかありません。(拍手)

巨額の補助金もらいながら「偽装請負」

 いま、全国で誘致補助金の限度額の引き上げ競争がおこなわれていますが、兵庫県は「究極の大盤振る舞い」です。全国でただ一県、誘致補助金の一社あたりの限度額がないんです(「へえー」の声、大きなどよめき)。

 松下電器一社だけで補助金の総額は百七十五億円です。空前の利益をあげている巨大企業への、この補助金ばらまきは異常というほかありません。

 さらに許しがたいのは雇用のあり方です。松下工場の新規採用は正社員たった六人にたいし、派遣社員二百三十六人。それでも県は一人あたり六十万円から百二十万円、総額二億四千万円を、工場建設補助金とは別に支給しました。ところが、派遣社員は一年後には、直接雇用義務のない「請負」に切り替えられました。典型的な「偽装請負」です。(「ひどすぎる」の声、どよめき)

 「派遣」と称して補助金をかすめとり、補助金をもらったら「請負」を装って無法な働かせ方をする。だまし取った補助金を返してもらおうじゃありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

県民と議会を結ぶ唯一の懸け橋

 「オール与党」の悪政にたいし、県民の声と議会とを結ぶ唯一の懸け橋の役割を果たしているのが日本共産党です。

 四万五千以上集まった「こども署名」など県民の運動で、二つの大きな成果が生まれました。子どもの医療費助成では、小学校三年生まで広がりました。自公民は九回にわたる請願にすべて反対。それでも県民の運動が行政を動かしました。少人数学級も、〇四年から実現。いま三年生まですすみ、四年生までの実施を知事に約束させました。ここでも、「オール与党」の抵抗を押し切りました。(大きな拍手)

 ムダ遣いをやめさせるうえでも大きな力を発揮しています。八鹿ダム(百億円)、余野川ダム(五百億円)を中止に追い込みました。県民アンケートでも、議員に望むことの一番は「ムダ遣いのチェック」(71%)。この仕事を一手に担っているのが日本共産党議員団です。(大きな拍手)

「解同」の横暴を一掃した歴史的業績

 不公正な同和行政の問題でも、先駆的な役割を果たしました。以前は兵庫県政も部落解放同盟(「解同」)べったりでしたが、それを変える転機となったのが一九七四年の八鹿高校事件で、その後、八鹿町、養父町、朝来町、南光町で民主町政が誕生しました。

 前南光町長の山田兼三さんによると、当時の知事は「『解同』との関係と一線を画さないといけない。共産党は体をはって『解同』とたたかった。あの姿を見習わないといけない」(拍手)とのべたそうです。このたたかいが兵庫から「解同」の横暴・利権あさりを一掃し、いま全国的に、不公正な同和行政を完全終結に追い込みつつあります。これは兵庫の党と議員団の歴史的な業績ではないでしょうか。(「そのとおり」の声、大きな拍手)


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