2007年2月21日(水)「しんぶん赤旗」

残業 月100時間以上

大企業の3社に1社

中労委 06年調査


 “過労死ライン”である月百時間以上の残業をしている人が大企業の三社に一社はいる―。中央労働委員会が実施した二〇〇六年賃金事情等総合調査の速報で、こんな実態が明らかになりました。


 政府は、残業代なしで何時間でも働かせる「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入をねらっていますが、長時間労働をいっそう深刻にする問題点が改めて浮かび上がっています。

 調査は、労働争議解決の参考資料とするため、賃金については毎年、労働時間などは一年おきに実施しています。対象は資本金五億円以上、従業員千人以上の大企業三百七十三社。

 それによると、〇六年六月の時点で、残業時間が月百時間を超える労働者が「いる」と答えた企業は七十八社(二百三十五社中)、33・2%にのぼりました。百時間以上の実態を聞いたのは初めてです。

 過労死は、残業時間が月四十五時間を超えると危険性が強まるとされ、労災認定基準である月百時間以上を超えると、企業や労働者は労働時間短縮や健康管理について産業医から指導などを受けなければなりません。

 しかし、長時間労働に対する取り組みでは、産業医の助言を受けた企業は25・5%、労働者が面接指導を受けたのも75・3%にとどまりました。(複数回答)

 一方、エグゼンプションと同じく長時間労働を助長する裁量労働制については、23・8%が専門業務型を、11・5%が企画業務型を導入。変形労働時間などなんらかの労働時間規制を緩和する制度を導入しているのは、67・2%にのぼっており、新たにエグゼンプションを導入する根拠がないことを示しています。

 残業を含まない労働時間は年間千八百八十一時間五十四分で、前回調査とほぼ同じ。本社以外の工場などでは、交代勤務のない人が千八百九十五時間十九分。前回より四時間以上増えました。

 賃金改定額(定期昇給と賃上げ)は六千二百七十五円で前年比二百八十円増(二百五十社が回答)。毎月の平均賃金は三十七万三千円で同千三百円減でした。一方、残業代は六万九千五百円で同六千三百円増となっており、残業時間が延びていることを示しています。


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