2007年2月22日(木)「しんぶん赤旗」

全国学力テスト

受験産業に個人情報

氏名明記 塾通いの有無まで調査

石井議員、中止を要求


 四月二十四日に小学六年と中学三年を対象に行われる全国一斉学力テストについて、委託先のベネッセコーポレーションとNTTデータが採点・集計を行い、こうした企業に個人情報が流れる危険性が明らかになりました。二十一日の衆院文部科学委員会で石井郁子議員は「個人情報を受験産業と国が握ることになり重大な問題だ」と指摘し、学力テストの中止を求めました。


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(写真)質問する石井郁子議員=21日、衆院文部科学委

 学力テストには国語と算数・数学の学力調査のほかに「児童・生徒質問」があり、「一週間に何日学習塾に通っていますか」「学習塾でどのような内容の勉強をしていますか」などを学校名、個人名を明記して答えさせます。石井氏は、ベネッセは「進研ゼミ」を事業の一つにした受験産業、NTTデータは旺文社と一緒になってテスト開発を行っている企業と連携していると指摘し、「受験産業がさらに拡大する」と追及しました。

 また昨年実施した予備調査では、学校への「質問紙」もありました。不登校、生活保護世帯の児童の割合、「校長の裁量経費があるか」など学力テストとは関係のないことまで聞いています。

 伊吹文明文部科学相は「特定の営利企業が国民の税金を持って自分たちに有利なデータを独占的にとることはあってはならない」と述べつつ、「契約書の内容として、企業が営業活動に使うことになれば処罰される。そういうことはきちっとやっている」と個人名の記入などを容認しました。

 石井氏は、学力テストの中止を要求するとともに(1)学力テストへの参加・不参加は生徒、学校、教育委員会の判断に任せる(2)個人名を書かないことも認めるべきだと強く求めました。

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解説

個人情報巡る大問題示す

全国学力テスト 石井議員質問

 全国一斉学力テストをとりあげた二十一日の衆院文部科学委員会の日本共産党の石井郁子議員の質問は、同テストが個人情報保護にとって重大な問題をもつことを明らかにしました。

 同テストでは、試験問題・解答用紙とともに、児童・生徒にたいする「質問紙」を配り、子どもたちは学校名、個人名を書いて提出します。

 石井氏は、昨年十一―十二月に行われた全国学力テストに向けた予備調査の問題例をあげました。

 通塾状況など受験産業が欲しくてたまらないような質問ばかりが並んでいます。個人名をかけば、点数から生活状況まですべての回答が個人情報となります。「自分は、家の人から大切にされている」「あなたの家には本が何冊くらいありますか」などの質問まであります。これは、学力調査の目的を超えて個人・家族の状態まで聞き出すものです。

 この情報の集計を行うのが、文科省が事業を委託した二つの企業です。小学校は、進研ゼミで知られるベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが担当します。

 また予備調査では学力調査に名をかりた学校情報の収集ともいえる質問をしており、文科省が学校にたいする直接統制に乗り出すことができるようになっています。

 日本共産党は、全国学力テストが競争教育を激化させ、子どもと学校を序列化するとして反対してきました。今回さらに文科省と一部企業が子どもと学校の情報を一手に握り、受験産業と結託した国による教育の管理統制につながりかねないことが浮き彫りになりました。

 また銭谷真美初等中等教育局長は学力テストの費用として、民間企業に計六十七億円(〇六年度に十八億円、〇七年度に四十九億円)の税金が支払われると答弁。学力テストで民間企業が巨額の「甘い汁」を吸う構図です。(藤原 直)


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