2007年2月24日(土)「しんぶん赤旗」
主張
3・1ビキニデー
いまこそ核廃絶迫る大波を
国民的な原水爆禁止運動の契機となった3・1ビキニデーが近づきました。一九五四年三月一日、マーシャル諸島ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験による第五福竜丸の被災と、同年秋の久保山愛吉さんの死は、広島・長崎の惨禍についで、国民に核兵器の脅威を衝撃的に伝えました。
核拡散の懸念のもとで
日本から世界へ、大きくひろがった反核の世論と運動は、核破局の危険を押さえ込み、核兵器全面禁止・廃絶を世界の声にしてきました。しかし、この実現には、なお大きな努力が求められています。
核超大国アメリカは、いまも人類を何度も絶滅させるほどの核兵器を持ち、さらに近代化や通常兵器との一体化戦略をすすめ、核兵器使用の新たな危険をつくりだしています。核拡散の懸念もひろがっています。
新たな核保有国の出現を許さないこと、拡散問題の平和的解決を、世界は一致して求めています。大量破壊兵器疑惑をでっち上げてイラク戦争を強行し、いま泥沼状況に陥っている米ブッシュ政権も、この流れに従わざるをえません。北朝鮮問題をめぐる六カ国協議は、朝鮮半島非核化へ、具体的な一歩を踏みだしました。すべての関係国による、合意の完全な実行が求められています。
同時に注目すべきことは、拡散への懸念が強まるなかで、いまこそ核兵器の廃絶を、という声がひろがっていることです。
昨年十二月の国連総会では、核保有国も同意した核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を求める決議が、百五十七カ国の賛成で採択されました。一方、アメリカは、たとえ一国だけでも核軍縮決議にことごとく反対し、世界の流れからの孤立と逆行をますます際立たせています。
自らの危険な核政策をよそに、力によって拡散問題に対処するやり方は、批判にさらされています。
かつて国連のイラク大量破壊兵器査察の責任者を務めたブリクス氏は、昨年、世界の有識者とともにまとめた、核保有国に核兵器廃絶への具体的行動を求める報告書を手に、精力的に世界を歩いています。
米国内でも、キッシンジャー元国務長官など核戦略推進の中心にいた人びとが「核兵器のない世界」のための提言をおこない注目されました。核兵器廃絶への「本格的なとりくみが米国によって開始されるべきである」と主張するとともに、それは拡散問題解決のとりくみに力を添えると述べています。
このような時、孤立するブッシュ政権に対する異様な支持をあらわにしているのが日本政府です。安倍政権は北朝鮮問題を口実に「核の傘」の必要を強調しても、被爆国としてアメリカに核兵器廃絶を迫ることはまったくありません。米軍のイラク増派を多くの同盟国が批判するなか増派を即座に支持し自衛隊の派遣も継続するとしています。在日米軍基地再編強化や「ミサイル防衛」態勢など、日本をアメリカの先制攻撃戦略にいっそう深く組み込み、憲法改悪をあくまでも進めるかまえです。
各地で、北朝鮮問題への関心から強い共感が寄せられている「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名をはじめ、日本の反核平和運動の前進が世界からも期待されています。
北東アジアの非核平和を
北東アジアの非核平和が、これまでにもまして切実に求められています。韓国、中国、アメリカの代表などを招いて開催されることしのビキニデー集会は、核兵器のない平和な世界とアジア、日本のための交流と連帯の場となるでしょう。