2007年2月26日(月)「しんぶん赤旗」

青年雇用 共産党、自治体動かす


 労働分野の規制緩和で、青年の労働条件の悪化が広がっています。日本共産党は、民青同盟などの青年の運動と結び、地方議会などで正面から青年の雇用問題に取り組み、豊かな実績をあげています。


独自調査実り 条例改正へ

京都

 京都府議会の二月定例会に、全国で初めて、誘致企業への正規雇用の促進を盛り込んだ「雇用創出のための企業立地・育成条例」改正案(知事提出)が提出されています。正規雇用に対する補助も予算化しています。

 府議会のこうした動きは、日本共産党が青年雇用問題に取り組み、府に重ねて求めてきたものです。

 数年前から、日本共産党は府議会で、青年の雇用実態を調査するよう要求してきましたが、府は調査の実施を拒んできました。日本共産党と民青同盟は、昨年七月から協力して独自調査に取り組むことにしました。

 ハローワーク前や繁華街、駅前などで、アンケート用紙を青年に手渡し、対話をしました。「人間を便利扱いするな!」「正社員になって労働にみあう身分保障を受けたい」など、一千通を超す青年の悲痛な叫びが寄せられました。

 この運動の盛り上がりと、党府議団の青年の実態を示した追及のなかで、府は昨年九月、派遣労働者の実態調査を約束、調査を始める変化も生まれました。

 一月に、アンケート結果をまとめて、「日本共産党と成宮まり子の『青年雇用アピール』(案)」を発表しました。成宮さんは、アンケート活動の先頭にたってきた党参院選挙区候補です。

 アンケートでは、七割の青年が「職場に違法・無法状態がある」と答え、回答した青年のうち半数が年収二百万円以下の「ワーキングプア」(働く貧困層)の状態であることが分かりました。

 アピールでは緊急対策として、▽安定雇用の拡大▽非正規労働者への差別をなくし均等待遇を▽国と自治体の責任で青年雇用の実態をつかむ―などを要求しています。

 成宮参院候補は、アピールや「青年の雇用と労働の改善をめざす共同要求署名」を通して、多くの青年に「あきらめず、声をあげ、政治を動かそう」と呼びかけていきたいと語っています。


『働くルールブック』発行

北海道

写真

(写真)青年雇用問題で質問する前川一夫道議

 北海道では昨年、道議会をはじめ八市議会と四町議会が、青年の雇用・自立に関する意見書を厚生労働省へ提出しています。日本共産党道議団の青年雇用に関する取り組みが道内に広がり、各地の共産党議員が議会で提案し、採択されたものです。

 多くの意見書では、▽政府自らが、教育、福祉、医療などで若者への仕事をつくる▽あらゆる雇用問題の相談と解決をはかる「ワンストップ」窓口を設ける▽フリーターの有給の職業訓練制度や訓練貸付制度を創設・整備する―などを求めています。

 非正規雇用など、青年の深刻な雇用問題に特に力を入れているのは、前川一夫道議です。

 数十通履歴書を送っても就職できない人、どの職場でも使い捨てのような扱いをされて、仕事を転々と変える人―。前川道議は議会のたびに若者の実態を明らかにし、青年の雇用状況の改善をはかるよう訴えました。

 前川道議はまた、道から十九億円以上の助成金を受けているトヨタ自動車北海道の、二〇〇五年度の求人票を開示請求して調査。二百九十五件すべてが短期の非正規雇用であったことが明らかになりました。前川道議は昨年七月の議会で、道は助成金を出す企業には、正規雇用を増やすように働きかけるべきだと訴えました。

 前川道議は同九月の議会で、道が助成金を出す大企業の系列会社で、非正規雇用で働く二十代男性が、健康保険や年金の加入のないまま働かされ、仕事でけがをしても労災が認められなかった実態を告発。その男性はその後、健康保険と年金に加入、労災も認められました。

 党道議団の取り組みが実り、同八月に道は、若者に働く者の権利を知らせる『働く若者のルールブック』を五千部発行し、道内の高校や専門学校、ジョブカフェなどに配付しました。


各地で豊かな実績

 京都、北海道のほかにも、日本共産党は民青同盟などと力を合わせ、豊かな実績をあげています。(表)

 千葉県では、党と民青同盟が協力して「青年労働実態黒書」を作成し、県労働局との懇談で「正社員の雇用を減らしつづけている大企業へ指導を」と求めました。

 島根県議会は、民青同盟の提出した「若者に雇用を増やす」ことなどを求めた請願を2004年に採択しました。他党が「そこまでいえない」と渋るなか、民青同盟の集めた4000人以上の「若者に仕事を」署名も力になり、2年がかりで採択させたものです。これをきっかけに、県は、若者の雇用対策に取り組むようになりました。

都道府県 成果
茨城 05年、ハローワーク窓口の時間延長、土曜日開館
埼玉 04年5月、「若年者就業サポートセンター」設置
05年、サポートセンターのスペース拡大、キャリアカウンセラー増員
「臨時採用教員を正規に」運動の中、小中学校ですでに実施されていた年齢制限撤廃を県立高校まで拡大
ニート対策の予算化
東京 都労働局作製の『ポケット労働法』の普及
千葉 06年で閉鎖予定だったジョブカフェの継続
長野 ジョブカフェの設置場所をよりわかりやすい場所へ移すと県に約束させる
非正規労働者の実態調査を県に約束させる
新潟 05年、青年向けの労働ルールを知らせるリーフを作製。05年から高校卒業生へ配布
岡山 04年、相談窓口設置。同窓口で採用が決まった青年の約7割が正規雇用
04年から高校卒業生に労働の権利を知らせる「ヤングサポートガイド」を配布
島根 04年、「若者の雇用を増やす」など民青同盟の提出した請願を2年がかりで議会に採択させる
ジョブカフェしまねの開設
県が高校生の就職対策のためのプロジェクトチームを結成
徳島 06年、光洋シーリング、日亜化学で偽装請負を是正し直接雇用・正規雇用を実現

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