2007年2月27日(火)「しんぶん赤旗」
靖国合祀
取り消し求め提訴
戦争中強制動員 韓国人と遺族
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戦時中、日本の軍人軍属として強制動員された韓国人の生存者一人と遺族十人は二十六日、日本政府と靖国神社を相手に、合祀(ごうし)取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こしました。原告は同神社の霊璽簿(れいじぼ=祭られた人の名簿)から犠牲者氏名を削除することなどを求めています。韓国人による靖国神社を相手とした裁判は初めてです。
提訴後、原告弁護団と来日した四人の原告が記者会見しました。
大口昭彦弁護士は「この訴訟は金銭が目的ではない」と強調。「夫や父が戦時中、日本に強制動員され、いまだに帰ってこない。(死亡)通知すらない。その一方で靖国神社に一方的に合祀されている。このような間違った事態を正すことがまず第一の目的だ」とのべました。
また、「靖国神社の問題は本来、日本人自身の問題である」と指摘。「隣国の友人をいまだに苦しめている現実に対し、日本人としてやるべきことを誠意をもってやっていかなければならない」と語りました。
「早く私の名前を消してほしい」と訴えた原告の金希種さん(81)は生きていたにもかかわらず、一九四四年七月八日にサイパンで戦死と認定され、五九年十月に合祀されました。「靖国神社は(戦没者を)神といっているが、私たちは志願して行ったのではない。強制的に連れて行かれたのだ」と語気を強めました。
羅敬壬さん(64)は「父は植民地支配の日本に監禁され、まだ解放されていない。父を解放するため最後までたたかう」と語りました。父親は四四年五月三十日、東部ニューギニアで戦死。五九年四月に合祀されました。