2007年2月28日(水)「しんぶん赤旗」
証券優遇の恩恵
長者7人 減税200億
申告所得 年100億円超す層
わずか七人に年約二百億円の減税―。証券優遇税制による減税がごく少数の富裕者に多額の減税をもたらしていることが、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調査で分かりました。安倍自民・公明内閣は、二〇〇七年度与党税制「改正」で、〇七年度中に期限を迎える証券優遇税制の一年延長を盛り込んでおり、一部の富裕者に対する優遇を温存する構えです。
佐々木議員が〇五年分の申告所得税標本調査(国税庁)をもとに試算しました。これによると、株式等譲渡益にかかる税率を本則20%を10%に軽減している証券優遇税制による減税総額は年約二千六百五十二億円(申告所得分のみ)。前年と比べ約千二百九十五億円増加しました。
このうち申告所得の合計が五千万円を超える階層(一万二千二百九十八人、全体の3・9%)の証券優遇税制による減税規模は、同約千七百三十億円(減税総額の約65%)でした。同階層は、一人あたり同約千四百七万円の減税を受けていることになります。
さらに申告所得の合計が百億円を超える階層はわずか七人(全体の0・002%)にすぎませんが、この階層の減税規模は同約二百億円に達しました。一人当たり同約二十八億六千万円もの減税を受けています。
同資料によると、〇五年に株式等譲渡所得を申告した人は、全体で三十一万四千百六十三人でした。
富裕層に応分の負担求めよ
佐々木議員の話
証券優遇税制が一部の富裕層に巨額の恩恵をもたらしていることが、国税庁の示したデータで裏付けられました。
安倍内閣のたくらむ証券優遇税制の一年延長による減税効果は、総額で約一兆円を超えるといわれています。これに、減価償却制度「見直し」による大企業減税七千億円をあわせると、定率減税全廃による庶民増税一兆七千億円に匹敵します。
庶民の家計には一貫して負担増を押しつけ、その一方で、富裕層や大企業を優遇するという「逆立ち税制」が、貧困と格差の拡大を助長しています。
取引の拡大や株価の上昇によって、〇六年は、さらに株式譲渡益や配当などによる収入が増加し、これに伴って、さらに一部富裕層の減税効果が増すことが見込まれます。
一部の富裕層に引き続き減税の恩恵を与える証券優遇税制の一年延長はきっぱりとやめ、マネーゲームなどで大もうけをあげている富裕層にこそ応分の負担を求めるべきです。
証券優遇税制 上場株式等の売却益にかかる税率は、二〇〇二年までは、本則26%でした。政府は、これを〇三年から本則20%(国15%、地方5%)に引き下げ、さらに〇二年から〇三年にかけて低迷する株価対策として、いっそうの証券優遇税制を実施しました。具体的には、〇三年から〇七年まで、上場株式等の売却益にかかる税率が10%(国7%、地方3%)に半減されています。また、上場株式等の配当金についても、本来、20%(国15%、地方5%)の税率が、〇三年度から〇七年度まで10%(国7%、地方3%)に優遇されています。
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