2007年2月28日(水)「しんぶん赤旗」
学生無年金障害者訴訟
原告控訴を棄却
大阪高裁 救済なしも“合理的”
国民年金への加入が任意だった学生のときに障害を負いながら、二十歳を超えて年金未加入だったのを理由に障害基礎年金が支給されないのは違憲として、京都府の坂井一裕さん(56)と松岡由香さん(44)が、国などに年金不支給処分の取り消しと損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が二十七日、大阪高裁でありました。渡辺安一裁判長は一審判決を支持し、原告の控訴をいずれも棄却しました。
判決は、法律の制定は「立法府の広い裁量にゆだねられている」と主張。国民年金法が当初、学生を強制加入の対象外としたこと、その後の法改正でも学生無年金障害者に救済措置を講じなかったことなどは、「不合理ではなく、憲法二五条、一四条に違反しない」と判断。原告の主張を全面的に退けました。
原告の坂井さんは「合理性一本で、どんな差別があろうが『合理的』という。私たちの実態をまったく見ない冷たい判決です。何のための司法か」と憤ります。森川明弁護団長は「原告の実態を吟味することなく、結論が、無年金でも『不合理はない』というのではひどすぎる」と批判しました。
原告団らは判決に対し「少数者・弱者の権利を救済すべき司法の責務を放棄するもの」とする声明を発表。上告する方針です。