2007年3月1日(木)「しんぶん赤旗」
自治体が偽装請負
不安定雇用増やすな 穀田議員追及
厚労相も「望ましくない」
公務員削減や民間委託がすすめられるなか、地方自治体が不安定雇用を増やす派遣・請負会社をつくり、「偽装請負」など法違反が横行している問題が二十八日の衆院予算委員会第五分科会でとりあげられました。日本共産党の穀田恵二衆院議員が質問したもの。穀田氏は、地方自治体が住民サービスを切り捨て、不安定雇用をすすめることは許されないと追及しました。
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柳沢伯夫厚生労働相は「偽装請負になったり、違法な状態に至ることは極めて問題」「民間であれ公的な団体であれ、不安定雇用を促進することは労働行政の上ではまったく望ましくないことだ」と答えました。
穀田氏がとりあげたのは、兵庫県篠山市と京都府京丹後市のケース。
篠山市では市が100%出資の請負会社「プロビス篠山」をつくり、図書館や学校に勤務する非常勤職員を雇い止めし、転籍させて同じ業務に就かせました。請負とは名ばかりで、市職員が指揮命令を出すなど偽装請負にあたるとして兵庫労働局が昨年十二月、是正を指導。労働局が全市町にたいし適正な業務委託を求める異例の通知を出す事態になっています。
京丹後市でも、転籍・再雇用した元非常勤職員らを給食調理や学校用務などに派遣する「総合サービス株式会社」を昨年十一月に設立。派遣事業の認可が出る前から職員の募集・採用を計画し、京都労働局から派遣法違反で指導を受けてもやめず、再び指導を受けるなど問題になっています。
出資者も派遣先も自治体であり、派遣法が禁じている特定企業への派遣を目的とする、いわゆる「もっぱら派遣」と変わらない実態です。
穀田氏は、「率先して法律を守るべき立場の地方自治体が法違反をおこなっていることは由々しき事態だ」と指摘。こんな会社に自治体の業務を任せることに住民の不安が広がっており、全国に広がっている住民サービスを切り捨てるやり方を改めるよう求めました。
民間委託すれば新たに手数料と消費税がかかるため、労働者の賃金・労働条件を切り下げ、不安定雇用に置き換えることになると指摘。「民間企業に正規雇用の拡大を求めながら、自治体が不安定雇用をすすめることは許されない。住民サービス確保のため、公務における安定雇用を確保することは国と自治体の責任だ」と強調しました。
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