2007年3月1日(木)「しんぶん赤旗」
公立高校
退学「経済的理由」26%
日高教がアンケート調査
「貧困と格差 大きな影」
親のリストラなど家庭の経済的な理由で公立高校を中途退学した生徒がいると回答した学校が調査した学校の26%にのぼっていることが二十八日、日本高等学校教職員組合(日高教)が全国の高校を対象に行ったアンケート結果からわかりました。東京都内で記者会見した日高教の小池由美子書記次長は、「貧困と格差が高校生にも大きな影を落としている」とのべ、国の教育予算の増額などによる修学保障を求めました。
アンケートは昨年十月、公立高校の授業料担当の事務職員や教員を対象に実施。二十三道府県・三政令市の七十七校(うち定時制十二校)から回答を得ました。
経済的理由による高校生活への影響を聞いたところ(複数回答)、中途退学は回答のあった五十校の26%にあたる十三校にのぼり、昨年の調査より6・4ポイントの増。しかし、経済的な理由でも退学理由を「一身上の都合」などとする場合も多く、「実態は調査に表れた数字より深刻である」としています。
また、修学旅行に参加しない生徒のいる学校は回答の60%に及ぶ三十校。修学旅行費の総額は全日制の平均で九万四千八百十七円でした。
各地の授業料は、総務省の定める基準額の全日制が年額十一万五千二百円、定時制で同三万一千二百円が中心で、授業料など教育費の保護者負担は全日制の初年度で平均三十一万円を超えました。
小池氏は「リストラなど家庭の生活状況は厳しく、授業料の滞納者数・減免者数の状況に好転の兆しは見られない」と指摘。授業料を長期に滞納する理由(複数回答)にはリストラや低収入、離婚が並びました。奨学金の受給者の割合も、全日制、定時制とも年々増加しています。
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アンケート回答者の声
○…少子化で生徒は減っているのに、(奨学金の)受給対象者は増えている。受給を勧めても、保護者が負い目を感じて申請しないなどのケースもある。
○…リストラなどにより、所得が大幅に減る家庭、派遣労働者や短期雇用、契約社員など不安定な家庭が増えている。
○…県は財政問題を前面に出して(授業料)収納への取り組み強化に躍起となり、殺伐とした教育現場となっている。
○…母子家庭の増加、不況のあおりを受けたリストラ、自営世帯の収入減などが目立っている。
○…母子家庭が多く、どうやって生活しているのかと思うほどの低所得家庭がある。
○…リストラで家庭が壊され、生徒が犠牲になっている。催促するときにも、苦しさを共感しながら私信を渡している。
○…三割の家庭が生活困窮である。離婚による母子家庭も目立つ。
○…父子、母子家庭が多い。年々、生活状況が厳しくなっている。