2007年3月1日(木)「しんぶん赤旗」
けいざい?
大企業減税の財源は?
財界首脳「消費税で」
熊 てぇへんだ、てぇへんだ。
ご隠居 こんどはなんだ。
熊 大企業の税金をまたまた減らせって、財界が騒いでる。おいらの税金も減らしてくれねぇかな。
ご隠居 そりゃ、逆だ。
熊 えっ、どういうことだ。
ご隠居 庶民の税金が増えないと、大企業の減税ができないんだ。財界の理屈だがな。
熊 なんだ、それは。
ご隠居 日本経団連は、法人実効税率といって、国と地方をあわせた法人税の税率を現行の約40%から30%に引き下げろと要求している。
熊 大幅に引き下げろというわけだな。
ご隠居 日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長は、記者会見(二月二十六日)で、“引き下げるための財源は、どうするんですか”と聞かれた。
熊 で、なんて答えたんだ。
二段階で増税
ご隠居 御手洗会長は言ったね。「われわれのビジョン(『御手洗ビジョン』)に、二〇一一年までに2%、一五年までに3%ぐらい上げると明確に書いてある」。これは消費税のことだ。いま5%の消費税を二段階で7%、10%にまで引き上げるということだ。
熊 なにか、消費税の増税が財源だってぇいうのかい。おいらたちから税金を集めて、大企業の減税につかおうってぇのか。
ご隠居 法人実効税率を10%引き下げると約五兆円の減税になる。消費税は1%引き上げると約二兆五千億円の税収増になる。消費税を2%引き上げれば、約五兆円の財源ができるという計算だ。
熊 ふてぇ野郎たちだ。
ご隠居 財界の発想は、消費税を導入する時から同じだ。
熊 なんだと。
ご隠居 消費税が3%で導入されたのが、一九八九年四月だ。その前の八六年に政府税制調査会の公聴会に出席した経団連の税制委員長が、大幅な法人税減税の財源として「課税ベースの広い間接税を導入すべきだ」と主張したんだ。
熊 なんだ、その「課税ベース」がどうのこうのというのは。
ご隠居 消費税など大型間接税のことだ。ことの経過は経団連の『五十年史』に堂々と紹介されている。
熊 なんでい、なんでい。はなっから「福祉のための消費税」なんて考えはなかったんだ。
ご隠居 消費税導入からの消費税の税収の合計と、同じ期間に法人税の税収が減った合計がほぼいっしょ。これは、偶然ではない。消費税で減収分を埋めた計算だ。
熊 家計から吸い上げて、大もうけしている大企業の減税に注ぎ込むってぇのは、どうにも納得いかねぇな。
共産党の出番
ご隠居 御手洗会長も批判が気になるようだ。法人税の減税で「企業だけが得するという発想は間違い」と言う。
熊 どこが違うって言うんだ。
ご隠居 こうだ。法人税の減税分はほとんどは研究開発と設備投資へいく。それで、国際競争力を持てば、企業は発展し、雇用を増やし、税収も増える。
熊 まるで、“風が吹けばおけ屋がもうかる”だな。だけど、キヤノン会長が雇用うんぬんと、えらそうなことが言えるのかい。
ご隠居 まったくだ。キヤノンの偽装請負が問題になったら、法律の方を変えろと言う。派遣・請負労働者の正社員化にも消極的だ。
熊 だいたい労働者や下請け業者にしわ寄せしながら、大もうけを稼ぎ出してきたのが大企業だろ。
ご隠居 家計を犠牲にして空前のもうけをあげたうえ、もっと家計に負担を強いて、大企業の減税に回せ―。身勝手にもほどがある。
熊 ここは、日本共産党の出番だな。財界・大企業からびた一文もらわねぇ政党でねぇと、ずばっと物が言えねぇ。
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