2007年3月2日(金)「しんぶん赤旗」
偽装請負是正
派遣への転換認めず
直接雇用へ厚労省通達
派遣労働者を請負労働のように装って働かせる違法な「偽装請負」について厚生労働省は一日、是正方法として派遣への切り替えを認めず、労働者を「直接雇用」するなど受け入れ企業にたいして厳正な指導をおこなうよう、都道府県労働局長に通達を出しました。同日から製造業で派遣労働者の受け入れ期間が最大で三年まで延長されることに対応した措置です。
派遣法では、製造業で最長三年(二月までは一年)を超えると、受け入れ企業は派遣労働者に「直接雇用」を申し込む義務が生じます。これを免れるための脱法行為が「偽装請負」。しかし、厚労省は「製造業に派遣が定着していない」として直接雇用を指導せず、派遣に切り替えることを認めていたため、労働者や日本共産党が直接雇用の指導を求めていました。
厚労省需給調整事業課長名の通達は、「派遣可能期間の制限にすでに抵触している労働者派遣に対しては、特に厳正に指導すること」として、派遣への切り替えを認めず、直接雇用など偽装請負是正の指導を強化するよう求めています。
厚労省は、この方針転換を昨年八月に決めましたが、文書を出していないため、日本共産党の小池晃参院議員が二十七日、文書などで周知するよう求めていました。
通達ではまた、三月から三年に延長する企業が増えることが予想されるため、原則は一年で、三年に延長するには過半数労働者からの意見聴取などが必要であることをあげて、厳正な指導を求めています。
需給調整事業課は、「三月から三年に延長されるのを機に注意喚起するとともに、問題になっている偽装請負を是正するために出した通達だ。今後は派遣への切り替えは認められない。法律に従い、是正を求めていく」と話しています。
たたかいの成果 市田氏談話
日本共産党の市田忠義労働法制改悪阻止闘争本部長は一日、次の談話を発表しました。
厚生労働省の都道府県労働局長にあてた通達は、法に「すでに抵触している労働者派遣にたいしては、特に厳正に指導」を求めており、偽装請負の是正指導について一歩、踏み込んだものといえる。これまで同省は、偽装請負の是正のさい、派遣への切り替えを容認してきた。この結果、キヤノンなど大手企業が、偽装請負を逃れる手段にしてきた。通達はこれを認めないとした点で注目される。派遣労働者のたたかいと国会での追及の成果だ。昨年九月の通達とあわせ、この通達も活用し、偽装請負を一掃し、直接雇用と雇用の安定のために引き続き努力していく。