2007年3月2日(金)「しんぶん赤旗」
“共同体意識を促進”
6カ国協議
米首席代表が期待表明
議会で証言 金融制裁「解決の用意」
【ワシントン=山崎伸治】北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は二月二十八日、下院外交委員会の公聴会で証言し、二月の協議の合意を踏まえて、今後六カ国の枠組みで、北東アジアの広範な安全保障問題に取り組む意義を強調しました。
ヒル氏は「北東アジアでは、共同体の意識、多国間で問題を解決するために集まろうという意識が十分に進展していない。六カ国協議がその進展への努力の始まりになるよう期待する」と述べました。
また、六カ国協議で設置が決まった「北東アジアの安全保障」作業部会で、「北東アジアの緊張を高めている広範な問題に取り組む。軍備管理問題を取り上げたい」と説明。北朝鮮のミサイル問題も取り上げる必要があると述べました。
また、マカオの金融機関が北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に協力したとして、北朝鮮に事実上の金融制裁を科していることについて、「問題を解決する用意がある」と言明。一方で「北朝鮮は不法行為をやめ、国際金融分野での評価を改善しなければならない」と強調しました。
ヒル氏は、二月の六カ国協議にはホワイトハウスの国家安全保障会議、国防長官事務室、統合参謀本部、エネルギー省からもスタッフが参加したと紹介。「私が北京にいる間、ライス国務長官と毎日電話で話し合った」と述べ、政権あげての取り組みだったことを強調しました。
二月の協議では、北朝鮮の核放棄と米朝・日朝国交正常化などを盛り込んだ共同声明(二〇〇五年九月)の「初期段階の措置」で合意、これを六十日以内に履行することが明記されました。
ヒル氏は、二月の協議で合意に至った理由として、北朝鮮が昨年行ったミサイル発射と核実験に対して国際的な非難が集中したことをあげ、「核兵器を追求しても経済的な必要は満たされないことに気づいたのではないか」と指摘しました。
日朝の拉致問題については「難しい問題になりそうだが、(解決)不可能な問題ではない」と指摘。「二国間協議で解決策を見つけるためのロードマップを見いだすことができることを期待する」と述べました。