2007年3月4日(日)「しんぶん赤旗」
貧困・格差さらに拡大
政府予算案
高橋議員が反対討論
衆院本会議
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日本共産党の高橋千鶴子議員が三日、衆院本会議で行った二〇〇七年度政府予算三案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
日本共産党を代表して反対討論を行います。
政府与党が十分な審議を尽くすことなく、政府予算案および歳入関連税法案の採決をごり押ししたことに断固抗議します。
予算審議でこれほどの審議軽視はほとんど例をみません。議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり、決して容認できるものではありません。
反対する第一の理由は、貧困と格差拡大予算である、ということです。
必死に働いても生活保護水準以下の収入しか得られないワーキングプアといわれる貧困層が少なくとも四百万世帯にのぼるなど、貧困と格差の拡大は深刻です。その打開をはかることは政治に課せられた重大な課題です。政府予算案はこれにこたえるどころか、全く反しています。定率減税廃止で庶民に一・七兆円、昨年と合わせると三・三兆円もの増税になります。生活保護の母子加算を段階的に廃止し、母子家庭の命綱である児童扶養手当も最大で半額にまで減らそうとする。雇用対策費は半分に削減する。その一方、史上空前の利益をおう歌する大企業や大金持ちにたいしては減税の大盤振る舞いです。
第二の理由は、アメリカとともに海外で戦争をする国づくりをすすめる予算であるということです。政府は、米軍基地の再編、自衛隊との一体化をすすめるための予算を本格的に組みました。〇六年度補正予算と〇七年度予算案合わせて四百億円を上回る額になっています。その促進のための特別措置法案まで提出しました。
にもかかわらず、米海兵隊のグアム移転を含め米軍再編でわが国が負担する総額がどれくらいにのぼることになるのか、その概要さえ明らかにしようとしません。アメリカいいなりに米軍再編・基地強化をすすめ、そのために数兆円ともいわれる巨額の経費負担を背負い込むなど許されるはずがありません。
第三の理由は、国民の立場に立った財政再建とは無縁の、逆立ち予算・浪費予算だということです。
空前の利益をおう歌する大企業・大資産家に応分の負担を求め、歳出のムダを徹底して削る―財政健全化をいうならこれが常道であるはずです。ところが予算案は、減価償却制度の見直し、証券優遇税制の延長などで大企業・大資産家への減税をいっそう拡大しようとしています。その減税効果は一・七兆円以上といいますから、定率減税廃止による庶民への増税分がそのままつぎ込まれることになります。この逆立ち税制の転換こそ今、切実に求められているのではないでしょうか。
いま、私どものところにも、若いみなさんがモノのように扱われ、尊厳も希望も奪われている実態が、多数寄せられています。長時間労働や、派遣、請負などの不安定雇用が広がり、若いみなさんが結婚して家庭を持ちたいという希望が出てくるはずもありません。
こうした大本にある働き方の問題と真剣に向き合い、人間らしい雇用と働き方を実現するためにこそ、知恵も財政も使うべきだということを強く指摘して、私の反対討論といたします。