2007年3月8日(木)「しんぶん赤旗」
希望のもてる北海道へ――共産党議席ふやす四つの意味
札幌演説会 志位委員長の訴え(要旨)
日本共産党の志位和夫委員長が五日、札幌市でおこなった演説のうち、地方政治部分(要旨)を紹介します。
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北海道は、日本のなかでも、貧困と格差という政治の害悪が一番ひどい形で集中している地域です。「住民の暮らしをまもる」という自治体本来の役割がこんなに強く求められているところはありません。
しかし道政の実態は、自民・公明は知事に何でも賛成の与党。民主は表面では「対決」しても、道政の大事な問題では与党と同じ立場です。日本共産党の議席を増やすことが、希望のもてる北海道への道です。それは四つの大事な意味をもっています。
道政に「福祉の心」を取り戻す議席
第一は、道政に「福祉の心」を取り戻す一番たしかな議席です。(拍手)
定率減税廃止など、庶民を「雪だるま式」負担増が襲っているとき、自治体はどうしているか。
札幌市では、国民健康保険料の仕組みを所得の低い人に重くする改悪を、自民、公明、民主で強行しました。年金月額二十万円のお年寄りの場合、二〇〇四年の税金と社会保障負担九万八千円が、〇八年には三十四万円。あまりに過酷な負担増です。(「ひどい」の声)
道議会では、昨年十月、日本共産党議員団が「庶民大増税の凍結と見直しを求める意見書」を提案しましたが、自民、公明、民主が葬りました。民主は反対討論で、「小手先の改革だ」と非難し、消費税は「将来(増税が)必要になる」といいました。
道には、乳幼児・重度障害者・母子家庭の三つの福祉医療制度がありましたが、所得制限に加え、定率一割負担を導入しました。難病助成制度も廃止し、B、C型肝炎など一万七千人の患者に三割負担を押し付けました。C型肝炎で治療を受けているある自営業者は、自己負担が千百二十円から、一万三千十円へと十二倍になりました。(どよめき)
共産党道議団は、子どもの医療費助成拡充で、住民の運動と共同して質問を重ね、〇四年から、通院の助成を就学前まで広げました。少人数学級では、四十回以上質問し、小学校一、二年、中学校一年生で実現したのも、共同の成果です。(大きな拍手)
北海道政にないのは、お金ではない。自民、公明、民主が持っていないのは「福祉の心」です(「そうだ」の声)。共産党を伸ばして、「福祉の心」を取り戻そうではありませんか。(大きな拍手)
北海道経済を立て直すたしかな議席
第二は、北海道経済を立て直すもっともたしかな議席です。
呼び込み型産業政策の典型、苫小牧東部開発。三千五百億円以上をつぎ込み、一万一千ヘクタールを造成し、うち五千九百ヘクタールを分譲して一大産業都市をつくろうと夢を描きました。自、公、民がそろって推進しました。
しかし、三十五年たっても、分譲面積はわずか千三ヘクタール、18%。現場では、昔のままの平原にシカの足跡(笑い)。「クマ出没注意」(爆笑)の看板まで立つ状態です。
これが失敗すると、今度は札束ばらまき――誘致補助金で呼び込みをすすめようとしています。日立北海セミコンに二十七億円など、大企業十二社だけで百四十億円もの補助金交付を決めています。
工場など建設補助のほかに、雇用一人につき五十万円の雇用助成もつきますが、正社員雇用は条件ではありません。一年以上の雇用見込み、年間所得百三十万円以上が条件で、これでは不安定・低賃金雇用を道自身が奨励しているのと同じではありませんか。(「その通り」の声、拍手)
さすがに知事が、財政難から一部補助率の引き下げ方針を打ち出したとき、民主は「企業立地にマイナスだ」(どよめき)とし、引き下げは先送りになりました。民主は「野党」になっても、大企業奉仕の呼び込み型DNA(笑い)はしっかり受け継いでいるのです。
こういうやり方から脱却し、道経済を支えている農林漁業、それを土台に発展してきた中小・零細企業や地場産業をしっかり支援する政治に転換させなければなりません。(大きな拍手)
北海道農業の命運を左右する二つの重大問題
北海道の農業をまもり、発展させるために、どうしてもストップさせなければならない二つの大問題があります。
一つは、品目横断的経営安定化対策。米と麦、大豆、テンサイ、原料用バレイショを対象に、これまで品目ごとに不十分ながら価格政策がありました。これを廃止し、都府県では四ヘクタール以上、北海道では十ヘクタール以上の経営に限って一定の所得補償をおこなうという仕掛けです。逆に言えば、基準以下の農家は「農家にあらず」と切り捨てる政策です。
日本の農業をささえてきた家族経営を切り捨てるとは、まさに亡国の農政といわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)
農家の選別をやめ、続けたい人、やりたい人すべてを応援せよ。生産コストをつぐなう価格保障に所得補償を組み合わせ、安心して再生産できる農業をつくるため、力を合わせようではありませんか。(大きな拍手)
もう一つの問題は、日豪EPA(経済連携協定)です。これがもし実施されたら、北海道農業の息の根をとめ、道の経済を崩壊させかねないとんでもないものです。
この協定で農産物貿易を完全自由化すれば、日本の家族経営は根本から破壊されます。日本の経済損失は三兆円とされ、そのうち一・三兆円が北海道です。安倍内閣は財界の要求に迎合して、交渉入りを決めました。私は、日本と北海道の農業を破滅に導く交渉には、入り口から入るべきではない、とはっきりといいたい。(大きな拍手)
住民と地域社会をまもる議席
第三は、国による地域社会の破壊から住民と地域を守る議席です。
郵便局がたいへんです。「サービスを後退させない」と公約したのに、道内四百四十六の集配局の三割、百四十一局が廃止されようとしています。
地域医療では、国の安上がり政策のもと、産科医不足が深刻で、全道でお産ができる市町村は百八十のうち三十七しかありません。
高等学校も、文科省の音頭とりのもと、二百四十の道立高校のうち、百十校を統廃合する計画が。そうなれば、道立高校は六十年前の水準に逆戻りで、戦後の財産をすべて失ってしまいます。(「ひどすぎる」の声)
夕張問題――責任と打開の道は
夕張問題も切り捨ての一つです。
二十二の炭鉱がつぎつぎ閉山。北炭は鉱産税未払い六十一億円を踏み倒し、閉山の後始末に十五年間で五百八十八億円もの歳出を市に強いました。財政破綻(はたん)は、石炭産業打ち切りの国策が招いた結果だといわなければなりません。(拍手)
さらに、〇一年に「産炭地域振興臨時措置法」の廃止で臨時交付金をなくし、「三位一体改革」と称し交付税三十億円を減らしたことが決定的打撃となりました。これに反対したのは日本共産党だけです。(「そうだ」の声、拍手)
私は、たとえ財政再建団体にされても、住民には憲法があると強調したい(拍手)。あのおいしい夕張メロン(笑い)は絶対になくせません(拍手)。憲法一三条の幸福追求権、二五条の生存権に立って、住み続けられる夕張をの運動を国民と連帯して広げようではありませんか。(大きな拍手)
不正・腐敗をただす正義の議席――道警裏金問題
第四は、不正・腐敗をただす正義の議席だということです。
この間、道警察の裏金疑惑が大問題になり、道警は会計検査院から不適正使用と指摘された九億六千二百七十二万円を国と道に返還することになりました。(拍手)
共産党道議団の奮闘の素晴らしさを私がいうのは当たり前(笑い)という人もいると思うので、北海道新聞取材班の『追及・北海道警「裏金」疑惑』から奮闘ぶりを紹介したい。
まず、共産党の花岡ユリ子議員(拍手)。問題の会計書類を拡大したボードをつくり、質問で高々と掲げた「その瞬間、芦刈本部長は傍聴席からわかるほどの動作で、ボードから顔をそむけたのである」。(笑い)
次は真下紀子議員(拍手)。「追及を重ねる共産党は予算委で資料のコピーを配り、パネルを使って芦刈本部長をただすつもりだった。ところが、他会派が賛同するようすをみせない」「コピー配布に反対したのは自民党・公明党。民主党はパネルは認めたものの、コピー配布は拒んだ」。そして大橋晃議員(拍手)。「孤軍奮闘、共産党」「迷走する民主党」(笑い)。「けっきょく、共産党以外はどの政党も疑惑解明に消極的」――。
警察を追及するためには、すねに傷(爆笑)をもつ政党は怖くてできない。正義の論陣を張る共産党をぜひ伸ばしていただくようよろしくお願いいたします。(大きな拍手)