2007年3月8日(木)「しんぶん赤旗」
おはよう ニュース問答
安倍首相「慰安婦」発言
内外に波紋広げているね
晴男 安倍首相の発言が内外に波紋を広げている。
秋平 旧日本軍の「慰安婦」問題についての発言だろう。国会答弁でも「慰安婦」の「強制性を裏付ける証拠はなかった」と繰り返した。
晴男 「慰安婦」というのは、アジア・太平洋での侵略戦争中に日本軍当局が関与するもとで集められ、日本軍兵士に奉仕する性奴隷として働かされた女性たちのことだ。
秋平 日本政府は一九九三年に当時の河野官房長官の談話を出して、日本軍の「関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」ことを認め、「おわびと反省」を表明したよね。
河野談話の否定
晴男 安倍首相は一方で河野談話を継承するといいながら、「慰安婦」の連行に「広義の強制性はあったかもしれないが、狭義の強制性はなかった」と談話を否定するような発言をしてる。
秋平 自民党の右派議員たちは、過去の戦争を正当化する立場から河野談話の見直しを求めている。だから外国のメディアは、ニューヨーク・タイムズ紙が「日本政府が談話の破棄を用意している」と報道したし、ロサンゼルス・タイムズ紙は「国粋主義者の要求に安倍首相が同意した」と伝えた。
晴男 多数の被害者を出した韓国の怒りは大きい。韓国外務省はすぐ声明をだして「歴史の真実をごまかそうとするものであり、これに強い遺憾の意を表明する」と非難したね。新聞も一斉に社説を出して批判した。
歴史書きかえる
秋平 安倍首相の発言は、本人の右翼的な本質から出ているという指摘もある。ニューヨーク・タイムズ紙は首相を「戦時の歴史を修正する活動を率いてきた国粋主義者だ」と書いた。
晴男 首相の発言は、米下院で審議されている「慰安婦」問題についての決議案について答えたものだ。決議案は日本に河野談話の否定など過去の歴史を書きかえる動きがあることを憂慮し、日本政府に改めて謝罪を求めるものだ。
秋平 安倍首相の発言は、米議会や世界にあるそうした懸念に根拠があることを逆に示す結果になった。日本に対する不信を世界にさらに広げた責任は大きい。
〔2007・3・8(木)〕