2007年3月8日(木)「しんぶん赤旗」
非核化の必要性 再確認
米朝作業部会終了 次回開催も合意
【ワシントン=山崎伸治】北朝鮮の核問題に関する六カ国協議に設置された米朝国交正常化の作業部会は六日、ニューヨークでの協議を終えました。北朝鮮の金桂冠外務次官との二日間で八時間以上に及んだ話し合いについて、米代表のヒル国務次官補は終了後、「非常によく、非常にてきぱきとして、非常に幅広い議論だった」と述べました。
ヒル氏は協議の詳細については言明を避けたものの、「二月の六カ国協議の共同文書で決めたすべての目標を達成できるという楽観的な感触が双方にあった」と指摘。加えて「次の段階についても相当の時間を費やした」と述べ、協議の進展ぶりを強調しました。
米朝の国交正常化については「時間をかけて議論した」として、「その目標に向けて努力するよう約束することを再確認し、北朝鮮側には完全な非核化を実現する必要性を再確認した」と述べました。
一九九〇年代の米朝協議で「連絡事務所」設置が議論されながら実現しなかったことについて北朝鮮側の説明を聞き、北朝鮮はその方式を支持していないとの見方を示しました。
北朝鮮の「テロ支援国家」指定解除については、「そもそも北朝鮮がなぜテロ支援国家リストに載せられたかという歴史的側面についても議論した」と説明しました。
日朝間の懸案である拉致問題も「時間をかけて協議した議題だった」と指摘。北朝鮮側に対し、「日本との関係を発展させることが重要だということを強調した」と述べました。
双方は次回の作業部会を十九日から北京で予定されている六カ国協議の前に開くことで合意。ヒル氏の平壌訪問について「一般的な話として北朝鮮側から提起はあったが、明確な計画は議論しなかった」と述べました。
高濃縮ウラン計画で米代表
北朝鮮に説明求める
六カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は六日、ニューヨークで講演した後の質疑応答で、北朝鮮は核兵器に利用できる高濃縮ウラン計画について説明すべきだと強調しました。
北朝鮮の高濃縮ウラン計画は、二〇〇二年十月に米政府が発表したもので、六カ国協議開始のきっかけとなった問題。ただ、北朝鮮は計画の存在を否定し続けています。
ヒル氏は「(北朝鮮は)多数の遠心分離機と説明書を買った」と指摘。購入した遠心分離機が発電用の低濃縮ウラン生産用なら、北朝鮮は購入の事実を隠す理由はないと語りました。
ヒル氏は「実際に高濃縮ウランを生産したのか、できなかったのかという問題はある」と認める一方、「大量の機材を購入したことについて説明する必要がある」と述べました。
一方、北朝鮮への事実上の金融制裁については、マカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座の一部が三月十五日までに解除されるとの見通しを示しました。ヒル氏は二月十三日に共同文書を採択した六カ国協議で、金融制裁を三十日以内に解決すると北朝鮮などに伝えていました。