2007年3月9日(金)「しんぶん赤旗」

規制緩和でバス競争激化

会社は減収 運転過酷

参院委で小林議員 国交相「全国調査する」


 規制緩和によってバス会社は減収、運転手はクタクタ―。日本共産党の小林みえこ参院議員は、八日の予算委員会でスキーバス事故問題をとりあげ、規制緩和がもたらした過酷な労働と違法な低運賃をただすよう求めました。冬柴鉄三国土交通相は「あらゆる手段を講じていきたい。全国いっせい実態調査をおこなう」と答えました。


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(写真)質問する小林みえこ議員=8日、参院予算委

 貸し切りバスは、二〇〇〇年から参入や運賃を規制緩和。小林氏は、午後六時に家を出て翌々朝の午前九時に家に帰りその日の夕方にまた同じバスを運転するなど過酷な実態を紹介し、「身体はくたくたになり、いつ事故が起きても不思議ではない」と指摘。この背景に規制緩和による運賃の値下げ競争があるとして大手クリスタル観光の実態を告発しました。

 同社は請負大手の元クリスタルグループの観光バス会社。旅行会社のあるスキーツアーの場合、法律で定める運賃(運輸局の告示運賃の下限)では約二十九万円ですが、同社が旅行会社から受け取る運賃額は約十九万円と十万円も低額です。

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 小林氏は、過当競争が運賃を低下させ、労働者の人件費削減と過労運転をもたらしていると指摘。「規制緩和以後の運賃や労働時間など実態を調査し、法令違反を是正するとともに過当競争を生み出す規制緩和を検証すべきだ」と迫りました。

 冬柴氏は「下限運賃を下回るものは認めない。調査し、違反があれば厳正に対処しなければならない」と答弁。柳沢伯夫厚労相は「労働行政の重点課題だ。問題ある事業者を把握し、指導監督に努める」とのべました。

 さらに小林氏は、旅行会社の安価なバスツアー競争によるバス会社への低運賃の押し付けも見逃せないと追及。冬柴氏は「強い人が地位を利用して無理強いすることは許されない」とのべ、旅行会社にバス会社に法令違反を強いないよう求めた通知を周知徹底していくと答えました。

 小林氏は「バス会社、旅行会社、市場まかせでは大変な事態を招きかねない。安全・安心最優先、危険を未然に防ぐあらゆる手だてを考えるべきだ。規制緩和を見直し、必要な規制はおこなうべきだ」と強調しました。

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