2007年3月9日(金)「しんぶん赤旗」

正規雇用拡大に助成

運動実り きょう条例改正可決

京都府


 九日までの日程で開かれている京都府議会で、企業立地・育成条例改正案(知事提案)が可決・成立することになりました。府が補助金を出している企業が正規雇用を増やすよう促します。若者たちの運動が日本共産党府議団(松尾孝団長、十二人)と共同で政治を動かしています。(山田俊英)

 二日夜九時、京都と大阪を結ぶ通勤電車、阪急電鉄の西院駅(京都市右京区)前におとなの背丈を超えるパネルを持った若者が集まってきました。「日本共産党とともに日本をかえるネットワーク」が毎週金曜日に行っている宣伝です。

 「青年の雇用と労働の改善をめざす共同要求署名にご協力ください」―黄地のパネルに黒い字が暗い中でも目を引きます。一月から始めた運動です。

 参加した男性(23)は条例について「自分らが動かしてきた。共産党も府議会で追及しはった。やれば変えられるという実感があります」といいます。

 企業立地・育成条例改正案は、この三月で期限切れになる現行条例(二〇〇二年度から施行)に代わるもの。「安定した雇用及び障害者の雇用の促進」を本則に盛り込み、補助要綱で正規雇用の拡大を図ります。

 現条例は誘致企業や規模を拡大した企業に補助金を出します。雇用については、京都府民を一人雇うごとに三十万円を助成します。対象となるのは「常用雇用」。パートや契約社員も含まれ、府は正社員が何人かも把握していません。

 改正後は補助金額が障害者五十万円、正規雇用四十万円、その他の常用雇用十万円となります。差をつけることで障害者や正規の雇用を促します。

青年の願い 共産党と実現

京都府の正規雇用促す立地条例

写真

(写真)若者に好評。京都の青年雇用問題リーフ

 山田啓二京都府知事は「全国でもいわゆる『正規雇用』等雇用の内容に触れた立地条例はないと思う」(一月二十四日、記者会見)と胸を張ります。しかし一年前、共産党議員が誘致企業の正規雇用増を求めたときは、「義務付けて企業がこなかったらどうするのか」(二〇〇六年三月三日、府議会予算特別委員会)と拒絶していました。

アンケートに

 府当局の姿勢に変化をつくりだしたのは世論の盛り上がりです。日本共産党府議団の新井進幹事長は「格差是正を求める全国の世論の変化と京都の運動が重なった結果です。〇五年の『円山青年一揆』を契機に運動が大きく広がりました」といいます。「青年一揆」は雇用と働き方の改善を求めて京都の青年団体が共同し、これまで二回開いた集会です。

 日本共産党京都府委員会、同府議団、京都市議団と日本民主青年同盟京都府委員会は昨年七月から十二月にかけて「青年雇用大調査」に取り組みました。配ったアンケート用紙は十二万枚。千通の回答には「使い捨てにされたくない」という叫びがあふれていました。「残業代が払われない」「有給休暇がとれない」など「職場に違法・無法がある」と答えた人は70%。年収二百万円以下が48%。正規・非正規を問わず、「正規雇用を増やしてほしい」が共通した声でした。

 共産党と民青同盟は、アンケート結果をもとに厚生労働省、京都府などに改善を求めました。共産党府議団は、府が補助金を出した企業が雇用を増やしていないことを取り上げました。そして、「助成する企業には雇用計画を出させ、一定の割合で正規雇用を求めるなど、安定的な雇用の確保を求めるべきだ」と要求しました。

 実際、読売新聞を印刷する関西図書印刷京都工場(八幡市)の建設には府が一億五千三百万円を補助しながら、新規雇用はわずか十一人。日産の子会社で変速機製造メーカー、ジャトコ八木工場(南丹市)の拡張には今後十億円程度の補助が見込まれながら、党府議団と地元市議の調査に会社側が明らかにした正規雇用増は十五人でした。

 府は九月になって、企業立地・育成条例を「正規雇用に資するよう見直す」と報告を出しました。十二月の府議会では知事が、青年雇用について非正規への対策を「課題」であるとの認識を示し、正規雇用の促進を新条例に盛り込みたいと答弁。いま開会中の議会に改正案を提出しました。

背を向けた党

 京都の正社員有効求人倍率は〇・六二倍(一月時点)。求職者十人に対し求人は六人分しかありません。しかし、府議会与党の自民、民主、公明は、共産党が求める正規雇用の拡大に背を向けてきました。民主党議員は昨年二月の議会では、正規雇用の拡大を求めることは「まったく時代にそぐわない」とまで述べていました。

 京都府議六十一人中、共産党議員団は十二人。府全体の地方議員でも五人に一人が共産党議員です。この議員団が草の根の運動と共同して府や府議会を動かす力を発揮しました。

 共産党と民青同盟は、雇用アンケートにもとづいて一月に「日本共産党と成宮まり子(参院京都選挙区予定候補)の『青年雇用アピール』案」を発表し、安定雇用の拡大、長時間労働の是正など六項目を提案しました。「青年の雇用と労働の改善をめざす共同要求署名」を呼びかけ、宣伝、対話を広げています。民青同盟員のアイデアを生かしたリーフレットも好評です。

アンケートから

1年で18キロやせた

 「正社員になって労働にみあう身分保障を受けたい。使い捨てにされたくない」(26歳女性パート・アルバイト)

 「仕事がきつい。1年間で18キロやせた」(28歳男性正社員)

 「朝6時半から夜11時まで働き月14万5千円」(男性契約社員)

 「過労で手術した。将来のことを考えると結婚できない。子どもも産めない」(28歳女性パート・アルバイト)

 「派遣の面接では正社員になれるといっていたのに、2年すぎて難しいといわれた」(27歳女性派遣)

 「正規雇用を増やしてほしい」(25歳男性求職中)

 「1日の休みを半日ずつ分けてとらされ、半日勤務のとき残業代が払われない」(28歳女性正社員)

 「仕事は同じなのに正社員と差がありすぎる」(37歳女性パート・アルバイト)

 *アンケートでは「パート・アルバイト」として集計


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp