2007年3月10日(土)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄駐留米軍

再編合意ばねにやりたい放題


 沖縄駐留米軍が、指定された基地以外でパラシュート降下訓練を強行するなどの横暴勝手を強めています。日本政府はアメリカと在日米軍の再編で合意し、米軍再編は「沖縄県民の基地負担の軽減のため」といってきましたが、それが大きなごまかしであることは実際の米軍の行動が証明しています。

基地外での威嚇活動

 米軍が一月から二月にかけ嘉手納基地、津堅島、キャンプ・シュワブで強行したパラシュート降下訓練は日米取り決めすらほごにする暴挙の一例です。

 兵員や装備などを目標地点に落下させるものですが、風に流されて民間地域に落下することもある危険な訓練です。小学生が落下したトレーラーに押しつぶされて犠牲になったこともありました。そのため日米両政府は、一九九六年のSACO(沖縄にかんする特別行動委員会)合意で伊江島補助飛行場でのみ訓練することを決めました。今回の投下訓練は明白な日米合意違反です。米軍はこうした横暴勝手が県民の怒りを強めさせていることを知るべきです。

 政府の態度も重大です。米軍に抗議するどころか、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の追及にたいして「緊急やむを得ざる措置」、伊江島以外での訓練も「排除しない」(北原防衛施設庁長官)と擁護しています。米軍が日米合意をほごにしても、抗議をする意思もない政府の態度は県民の不信を強めるだけです。

 県民に機関銃の銃口を向けた軍事訓練までおこなうようになっていることも見過ごせません。

 宜野座村潟原(かたばる)海岸から上陸し、国道を横切ってキャンプ・ハンセンに向かう海兵隊が、途中で国道に向けて機関銃を構えた訓練を実施したことが発覚しました。国道敷内で十人ほどの完全武装兵が、一般車両の行きかう国道に向けて狙撃用照準器をのぞき込み、攻撃態勢をとったのです。県民を標的にしたとしか考えられない行動です。基地負担を「軽減」するなどといいながら、県民に銃を向けるなどとんでもないことです。

 場所は基地外であり、日本が主権を行使する場所です。基地外での軍事訓練が米軍地位協定違反であることは明確です。「住民に無用な不安を与える」(麻生外相)などといって、形ばかりの申し入れですまそうという政府の姿勢は重大です。

 米軍再編合意が、米軍がやりたい放題の行動に出ている背景になっています。昨年五月の「米軍再編のための日米ロードマップ」は「同盟関係にとって死活的な重要な在日米軍のプレゼンス」と明記しています。アメリカが、米軍を「死活的に重要」だとする日本政府が米軍を制約するはずがないとみているのは間違いありません。実際、日本政府は米軍を批判するどころか、パラシュート降下訓練さえ追認しています。

 政府は沖縄県民をだしにして米軍再編を進めるのをやめるべきです。

痛みをなくす保障は

 米軍再編の一環として嘉手納基地の米軍機五機が航空自衛隊築城基地(福岡県)に一時移転し訓練を実施しました。しかし、こんなことで沖縄県民の爆音被害は解消できるはずはありません。米軍は安眠を奪う深夜・早朝の戦闘機離陸をやめるつもりはありません。自衛隊も嘉手納基地を使うことが決まっています。米軍再編が基地の痛みを増大させるのは明白です。

 沖縄県民の平和的生存権を保障するには米軍基地の撤去・縮小しかありません。


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