2007年3月10日(土)「しんぶん赤旗」
「慰安婦」問題 日本政府に批判続く
“歴史直視、真の国益”
ボストン・グローブ紙社説
【ワシントン=鎌塚由美】米紙ボストン・グローブ(八日付)は、「謝ることのできない日本」と題する社説で、安倍首相の「慰安婦」発言を批判しました。
社説は、安倍首相が「軍の売春宿に閉じ込められた二十万人にのぼる女性たちの苦しみを公式に認めることを拒否した」と指摘。安倍首相の発言は「日本国民を反映したものと理解すべきでなく、むしろ与党・自民党の安倍氏や右派が権力への布石として採用してきた国粋主義の症状だ」と述べました。
社説は、米議会で審議中の決議案について「客観的事実に基づいていない」と主張する安倍首相に対し、「むしろ安倍氏は、十分に確立された歴史の真実を認め、生き残っている被害者たちに公式な損害賠償を行うべきだ」と主張。「真の国粋主義者は、このような日本の真の国益にとって最良となる方法で、歴史に向き合うだろう」と述べました。
“世界で理解しがたい”
インドネシア英字紙社説
インドネシア英字紙ジャカルタ・ポスト六日付社説「日本の未熟さ」は、安倍首相が「慰安婦」問題で「強制を証明する事実はなかった」とのべたことを厳しく批判し、誠実に歴史と向き合うよう求めています。
社説は「安倍氏はわずか六カ月で、日本の戦争中の歴史と向き合う点で小泉首相とあまり変わらないことを世界に示した。安倍氏は、日本が戦争中に性の奴隷の問題に関与したことを認めて謝罪するよう求める米下院での決議案にいらだっている」と指摘しています。
また、「第二次世界大戦後六十二年にもなるのに、日本がなぜ戦争中の歴史的事実を正直に受け入れずこうした子どもじみた態度を維持し続けるのか、世界中の人々にとっては理解し難い」と問いかけています。
強制否定は許されない
中国外務省報道官
【北京=菊池敏也】中国外務省の秦剛報道官は八日の記者会見で、米下院外交委員会が「慰安婦」問題で決議案の審議を進めていることについて、「『慰安婦』の強制徴用は、日本軍国主義が第二次世界大戦で犯した重大な犯罪行為の一つ」と述べ、「これは客観的な歴史事実であり、否定することは許されない」と強調しました。
同報道官は、「慰安婦」問題が「隣国および国際社会での日本のイメージにかかわる」と指摘、「日本側が勇気を示し、歴史・人民・未来に責任を負う態度で、国際社会の正義の声に真剣に対処し、歴史的に残されたこの問題を真剣かつ適切に処理することを希望する」と述べ、日本政府の対応を促しました。