2007年3月16日(金)「しんぶん赤旗」
核兵器更新 造反相次ぐ
イラク参戦時に次ぐ規模 与党80人余反対
英下院承認
【ロンドン=岡崎衆史】英政府がトライデント型原子力潜水艦発射弾道核ミサイルを主体とした現有核兵器システムの更新を決めたことの是非をめぐり同国下院は十四日、表決を行い、賛成四〇九対反対一六一で政府決定を承認しました。
表決にあたっては八十七人前後の与党労働党議員が反対票を投じ、政府は最大野党保守党の支援を得て多数を確保しました。下院表決での与党議員造反は、イラク参戦の是非をめぐって、ブレア政権下最大となった二〇〇三年三月に次ぐ規模に達しました。
同じ日に行われた更新決定の先延ばしを求める表決には労働党議員九十五人が賛成票を投じ、賛成一六七対反対四一三となりました。
表決に当たっては労働党議員四人が政府要職を辞任。十二日に下院院内副総務(閣外相)辞任を表明したグリフィスス議員は下院での演説で、英国が地球温暖化防止や貧困削減で世界の先頭に立ってきたことを挙げ、「わが国は核脅威根絶でも世界を先導するべきだ」と訴えました。
英国は現在、トライデント型原潜発射弾道核ミサイル五十基、核弾頭約二百発、バンガード級原子力潜水艦四隻からなる核戦力を保有しています。政府は、二〇年すぎから始まる原潜の退役に備え、昨年十二月、新型原潜開発を目指すとともに、トライデント・ミサイルの寿命延長に向けた米研究開発計画に加わる方針を明らかにしていました。
英政府は、下院での承認を受け、更新に向けた動きを加速化させる意向ですが、与党労働党内だけでなく、国民の反対も根強く政府の思惑通りにいくかどうかは未知数です。ブレア首相は、新型原潜の開発、設計の契約が問題になる一二―一四年ごろに、再び国会が判断することになるとの見方を示しています。
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