2007年3月17日(土)「しんぶん赤旗」
リストラ・格差を拡大
産活法改悪案ただす
衆院本会議 塩川議員
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安倍内閣が「経済成長戦略大綱」の中心法案と位置付ける産業活力再生法(産活法)改悪案など三法案が十六日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の塩川鉄也議員が質問に立ち、労働者と国民生活、中小企業、地域経済に大きな影響を与える法案の問題点をただしました。
産活法は、企業のリストラ計画を政府が認定し、減税などで支援する世界にまれな制度。九九年の法制定以来、約十万人の人減らしで一千億円もの減税がおこなわれた「リストラ促進法」です。改悪案は対象を拡大し、期限を八年延長して二〇一六年三月までとしています。
塩川氏は、大企業が利益をあげるもとで、貧困と格差が広がっているのは、これまで政府が産活法などでリストラを支援し、労働法制の規制緩和による雇用の流動化と「車の両輪」で企業支援を推し進めてきた結果であると批判。しかし甘利明経済産業相は、政府の政策が「貧困と格差の拡大をもたらしたとは思わない」、雇用の流動化は「生産のフレキシビリティーのために必要」などと、無責任な態度を示しました。
塩川氏は産活法改悪案の問題として、「人材サービス業」育成をかかげていること、医療、保育といった分野を「サービス産業」と位置付け、効率優先で国民の安心安全を掘り崩しかねないことを指摘。製造業への労働者派遣の禁止を求めました。
柳沢伯夫厚労相は、労働者派遣の受け入れ期限の廃止を財界が求めていることについて「受け入れ期限を廃止することは適当でない」とのべ、甘利経産相は、中小企業の下請け単価についても「最低賃金がきちんと守られることが必要」と答えました。
解説
減税対象に偽装請負の問題企業
産業活力再生法改悪案をはじめとした「経済成長戦略大綱三法案」は、安倍内閣がおしすすめる「経済成長戦略大綱」の中心的な法案です。三法案は、企業の事業再編・リストラ計画に対して、減税などで支援する産活法改悪案と、地方公共団体による大企業のよびこみ合戦を促進し、地域間格差を拡大する「企業立地の促進法案」、中小企業による地域産業資源の活用を支援する「地域産業資源活用法案」です。
産活法の改悪は、サービス産業などに範囲を広げ、支援対象に「技術活用事業革新」「経営資源融合」を加え、支援措置に中堅・中小企業の海外子会社への資金提供支援を加えます。
もともと産活法は、一九九九年に自民・公明の賛成で時限立法として制定され、二〇〇三年には民主党も賛成し、適用範囲を広げて五年間継続としました。今回の案は、一六年三月まで長期に継続するものです。
日本共産党の塩川鉄也衆院議員が本会議で指摘したように、産活法が適用されたものには、違法な偽装請負が社会的問題となった松下プラズマディスプレイを中心とする松下グループの二万七千人におよぶリストラ計画も含まれ、トヨタ自動車、日産などの大企業も多くの適用を受けています。
企業立地の促進法案の問題は、「頑張る地方プログラム」などとして、地方交付税を国が地方の「頑張り」の評価で配分することで、地方の自主性を損なうことです。また、企業立地迅速化のためとして工場立地法の規制緩和と農地転用の迅速化をはかるとしていることも問題です。(吉川方人)
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