2007年3月20日(火)「しんぶん赤旗」

夕張破たん

大銀行に責任

紙議員追及 赤字拡大承知で貸す


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(写真)質問する紙智子議員=19日,参院予算委

 北海道夕張市の財政破たんをめぐり、エネルギー政策転換、交付税削減をおこなってきた政府とともに、多額の貸し込みをおこなった大銀行の責任が明確になりました。日本共産党の紙智子議員が十九日の参院予算委員会で、独自入手した資料をもとに追及しました。

 紙氏が示した、みずほ銀行と三菱UFJ信託銀行に関する資料によると、破たんの直接的な原因の一つである観光事業会計の借入残高(二〇〇六年三月)では、みずほが三十二億円、三菱UFJ信託が二十九億円で、断トツの一、二位です。また、みずほによる貸出総残高は、夕張市の借金が急速に増えた一九九八年の六億六千万円から、九九年の九十一億円へと激増しています。

 紙氏は、夕張市がホテルやスキー場を民間から買い上げようとした際、地元金融機関が「採算が取れる見込みがない」と貸し出さず、道も地方債発行に反対したにもかかわらず、みずほは二十億円、三菱UFJ信託は十五億円をぽんと貸し出した事実も指摘しました。

 なぜ大銀行は気前よく貸し出したのか。紙氏は、地方自治体に貸し出したお金は「優良債権」として扱われる実態を指摘。「赤字拡大を百も承知で貸し込んだ大銀行の責任を一体、どう思うか」との追及に、菅義偉総務相は「あくまでも市の責任でやってきた」と述べ、安倍晋三首相も「市と銀行との間の問題」などと銀行を擁護する態度を示しました。

 紙氏は、利率2%で計算した場合、両銀行だけで手にした利息は〇六年までの九年間で二十六億円にのぼり、さらに元金についても、道による肩代わりや、前倒し返済の仕組みができていることを暴露。「市民への過酷な負担押し付けの一方、大銀行が何食わぬ顔で莫大(ばくだい)な利息をもうけ、元金も先に返済してもらい、逃げ出そうとしている」と批判し、少なくとも借金拡大の真相が明らかになるまで、金融機関への元利返済は凍結すべきだと強く要求しました。


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