2007年3月21日(水)「しんぶん赤旗」
自民区議が報告書盗用?
千葉県HPから丸写し
東京・大田
1人80万円海外視察
共産党区議団 究明求める
東京・大田区の自民党区議が二〇〇五年に行った海外視察の報告書(二ページ半)の半分近くを、千葉県のホームページに掲載された大学名誉教授の講演要旨をほぼ丸写ししていたことが日本共産党大田区議団の調べでわかりました。同区議団は二十日、大田区役所で記者会見し、「議員の資格問題にもかかわる」とのべ、事実を究明するよう議長に申し入れたことを明らかにしました。
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この区議は、鈴木章浩氏。四月の大田区長選に自民党都議が立候補することにともなって実施される都議補選への出馬を表明しています。
問題の海外視察は〇五年十一月七日から十七日まで「観光政策」などを視察目的にドイツ、モナコ、フランスの八市を訪問したもの。自民党八人、民主党一人が参加、カジノで有名なモナコに二泊するなど、一人あたり八十万円という超豪華旅行です。
大田区議会年報二〇〇五年版に、この視察団報告が掲載されています。これによると、視察九日目の十五日にフランス・リール市を訪れ、国際会議場や市交通局、無人運行地下鉄を「調査」したことになっています。
ところが、鈴木区議の報告書のうち、リール市を訪問し、副市長から聞き取った話の紹介として記載した部分(四十六行)のほぼ全文が、千葉県商工労働部企業立地課のホームページに載っている早稲田大学名誉教授の講演要旨を「丸写し」した疑いがあります。
講演は、一九九七年十一月二十八日に千葉県と「かずさアカデミアパーク」の主催で行われたもので、視察報告書は、現在形を過去形に直したり、「変貌」を「変ぼう」、「石炭の町」を「石炭のまち」などとしているだけ。「盗用」としかいいようのないものです。
議員の海外視察は、大田区では、自民党、民主党、ネットが参加。〇三年―〇五年の三年間で総額二千百六十万円が支出されています。議員の内訳は自民二十二人、民主四人、ネット一人ですが、二回参加した議員が自民四人、民主一人も。
オランダ、ベルギー、チェコ、オーストリア、イタリアの各国を自民五人、民主、ネット各一人が視察した〇四年の報告書に「団を結成してから最初の課題は訪問先の選定でした」と平気で書いているように、視察の目的は後回しで、まず行くことが先にありき、という側面があります。
日本共産党の渋谷要区議団長(都議補選候補)は、「盗用したとなれば、視察のあり方そのものが問われます。日本共産党は、海外視察や国際親善交流にすべて反対ではありません。本当に必要なときには参加し、費用の節約、内容の充実のために努力します。党区議のなかには、タイの地雷撤去国際会議や、韓国の女性問題研究に自費で参加して成果もあげています。区民に住民税増税や国民健康保険料値上げなどの痛みを押しつけて、自分たちは観光旅行に等しい海外視察では、区民は納得しないでしょう」と話しています。
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